Ep.12「ラブコメ探偵の名推理」 ページ15
宮下Aの小さな背中は、宵闇に溶けるように、あっという間に街の雑踏に消えてしまった。その時ようやく、松田刑事は俺の手を解放してくれたのだった。
「……ボウズ、お前が何考えたのかは知らねえが、アイツは怪しいやつじゃねぇ」
自由になった俺の手の中には、彼女につけ損ねた盗聴器。宮下Aにつけるはずだったそれは、意外にも松田刑事の手によって行く手を阻まれた。
「えへへ……はーい」
なんとなく気まずくて、誤魔化すように俺は返事を返した。
松田刑事が信頼できる人間であることは、俺だってよく知るところだ。しかし、それでも気になることがあると、その真実を解き明かしたくなってしまうのが探偵の性というものなのであった。
松田刑事と話していた時の、宮下Aの目尻の下がった表情、砕けた口調。悪い人じゃなさそうだ、と思ったのは事実だった。何故かと聞かれれば、なんとなく。灰原に聞かれでもしたら、「名探偵が聞いて呆れるわね」と鼻で笑われてしまいそうな理由だ。
しかし、協調性に些か欠陥が見られるらしい松田刑事と長年の幼馴染みをやっているということは、彼女が少なくともそれなりに温厚な人間であることを示す一つの証明であった。
「幼馴染みってことは、松田刑事が携帯につけてる、パンダのストラップをくれた人が宮下さんなんだよね？」
「そうだ」
松田刑事の持つガラケーには、パンダのストラップが付いている。3センチくらいの小さなものなのだが、パンダのくせにお世辞にも可愛いとは言えないストラップだった。長年つけているのか、もうくたびれたような様子すら見られるもので、思い出だとかいったものにドライな印象のある松田刑事には確かに似合っていなかった。
「松田刑事の風采に全く相応しくないブサカワなパンダのストラップ………」「まさか」「……ラブの予感かも♡」なんて、ある時キャッキャしていた園子と蘭の推測によれば、恋人との思い出の品に違いない、と。
いや、まさかまさか……と俺は内心その予測を小馬鹿にしつつ、真偽のほどを確かめに行った園子と蘭についていった。そして松田刑事はこともなさげに言ったのだった。
「あぁ、幼馴染みからもらった土産だ」
「え？幼馴染みって、萩原さんですか？」
「いや、違う。もう一人いてな」
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やなり(プロフ) - jenniferwu3429さん» 原作は辛すぎますよね……。 (8月13日 18時) (
レス) id: 38128c49d7 (このIDを非表示/違反報告)
jenniferwu3429(プロフ) - この作品を読む度に禅院姉妹のことを思い出すな (7月13日 3時) (レス) @page4 id: 426e07a7b9 (このIDを非表示/違反報告)
やなり(プロフ) - RIOさん» お返事遅くなってしまいすみません！コメントありがとうございます！こうしてコメントを、いただくと筆が乗ってしまう単純なわたし……(^-^; 少しづつにはなりますが更新していくので、お付き合いいただけるとうれしいですm(_ _)m (2022年5月28日 9時) (レス) id: 38128c49d7 (このIDを非表示/違反報告)
RIO - 早く続き読みたいです！ (2022年5月24日 6時) (レス) @page11 id: 759836d8d0 (このIDを非表示/違反報告)
やなり(プロフ) - sou様、こ、光栄なお言葉をありがとうございます……！あらかじめ書き溜めた分はコツコツ更新していこうと思っています。完結まで私の妄想に付き合っていただけるとうれしいです(*´꒳`*)。ご期待に添えるように頑張りますね！！ (2022年5月22日 9時) (レス) id: 38128c49d7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：やなり | 作成日時：2022年5月21日 16時
