Ep.8 ページ11
私がどうでもいいことを考えている間に、こなん君は次の問いを繰り出した。
「宮下さん、松田刑事の幼馴染みってほんと？」
「う、うん。そうだよ。………そうだよね？」
「なんで疑問系なんだよ」
人から聞かれると自信がなくなることってあるよね。
「さっき、四年間海外にいたって言ってたよね。海外で何してたの？僕すっごく気になるんだ。お願い！教えて」
「えー……と、ボランティア、だよ。
NGOみたいな……あ、NGOって分からないか」
「わかるよ。非政府組織のことでしょ？」
「え、君スゴイ！良く知ってるね！頭いいんだー。そう、そのNGOみたいな機関のお仕事で、海外に行ってたの。話すと長くなるから端折るけど……人を助ける、お仕事だったよ」
パチン、とこなん君が両手を合わせてわたしに言うものだから、なんとか答えなくては、と思ってしまった。
この子はこの歳で海外に興味があるのか。いいことだ。英語教師(表向き)として大いに応援したい。
でも、「呪術師っていう、呪いを祓うお仕事の関係でね……」って馬鹿正直に言うワケにはいかない。だから端折ったけど、端折りすぎたかな。いやでも嘘はついてないし。非政府組織もボランティアも嘘だけど。バリバリ公的組織の派遣で報酬もらってるけど。
勝手にボランティアで医療支援とかしてたのかなって推測してくれ……ごめんね……。
多少の罪悪感を抱えてそう言った私を、こなん君はじいっと見つめた。その視線はあまりにも真っ直ぐだった。
―――私は、幼い子供の無邪気で無垢な視線が、少しだけ苦手だ。
すぐにふいっと、こなん君の視線から目を逸らしてしまった。目が合っていたのはほんの二秒に満たない時間だったと思う。
「そうなんだ！すごーい」と、こなん君が猫をかぶったように言った。猫をかぶっているように感じたのは、なんとなく。真っ直ぐすぎる視線の中に、自分を探られているような不快さを見てしまったからだった。
「……おいA。お前、大丈夫か？」
「大丈夫。ちょっと今日、疲れただけ」
陣平くんの訝しげな問いに、そう言って微笑んで見せる。
今日は、疲れた日だった。
九連勤目の討祓任務、殺人事件に巻き込まれ、幼馴染みと意図せぬ再会、そして最後にこの子から恐らく探りを受けた。こなん君の質問の意図はなんなのか。純粋とも打算的とも、私には判断できない。
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やなり(プロフ) - jenniferwu3429さん» 原作は辛すぎますよね……。 (8月13日 18時) (
レス) id: 38128c49d7 (このIDを非表示/違反報告)
jenniferwu3429(プロフ) - この作品を読む度に禅院姉妹のことを思い出すな (7月13日 3時) (レス) @page4 id: 426e07a7b9 (このIDを非表示/違反報告)
やなり(プロフ) - RIOさん» お返事遅くなってしまいすみません！コメントありがとうございます！こうしてコメントを、いただくと筆が乗ってしまう単純なわたし……(^-^; 少しづつにはなりますが更新していくので、お付き合いいただけるとうれしいですm(_ _)m (2022年5月28日 9時) (レス) id: 38128c49d7 (このIDを非表示/違反報告)
RIO - 早く続き読みたいです！ (2022年5月24日 6時) (レス) @page11 id: 759836d8d0 (このIDを非表示/違反報告)
やなり(プロフ) - sou様、こ、光栄なお言葉をありがとうございます……！あらかじめ書き溜めた分はコツコツ更新していこうと思っています。完結まで私の妄想に付き合っていただけるとうれしいです(*´꒳`*)。ご期待に添えるように頑張りますね！！ (2022年5月22日 9時) (レス) id: 38128c49d7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：やなり | 作成日時：2022年5月21日 16時
