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Ep.4・コナンside ページ7

 
 
 
 
 


「あの、すみません。帰りたいので、早く犯人見つけてもらえませんか。同僚が外で待っているんです」

「すみません。なるべく早く終わらせますので」




 俺の注意が彼女から逸れ始めた時、彼女は初めて穏やかな声色にかすかな苛立ちを滲ませて、そう言った。初めて見せた、迷惑そうな顔だった。




 別におかしな話ではない。むしろ今まで嫌な顔一つせず、素直に事情聴取に応じてくれていたことが、ありがたいことだった。
 ピリピリとした空気感がより一層強まった現場。その時、その人はきた。




「いや、多分この場に犯人はいねぇぜ。目暮警部」

「……どういうことだね!」




 相変わらず喪服にグラサン、下手なヤクザよりヤクザな風采をした彼は、その長い足でツカツカと現場にやってきた。




「その女は犯人じゃねぇ。帰してもいいんじゃねぇっスか」

「松田刑事!」



 「よぉ、メガネのボウズまた会ったな」と、俺の頭をぐしゃぐしゃと無遠慮にかき混ぜた彼は、「松田くん、一体どういうことだね」と訝しげに問う目暮警部に遺体の方を見るよう促した。




「どーもこーもねぇ。遺体の側頭部を見てみろ……」




 的確な推理が目の前で繰り広げられる。事件解決へ向けた前進が見込めることを確信できた俺は、視線が一斉に集まった中の、その外側に、目を向けた。



 宮下Aがいた。松田刑事を見て、目を見開いた。元々小動物みたいに丸かった目が、さらに丸くなっている。それは眼球がこぼれ落ちてしまうんじゃないかと心配になってしまうほどで、そこでやっと、彼女の瞳の色が、夜闇(やあん)の深い霧を閉じ込めたようなグレイをしていることに気がついた。



 その目には、はっきりとした驚きの色が表れていて、松田刑事は彼女にとってなんらかのイレギュラーな存在であり、そして関係がある人物であるということを、如実に物語っていた。


 宮下Aについて考えを巡らせている間に、事件の結論は、俺が導き出したものと同じ道筋を辿っていた。



「それは……まだこの事件」

「あぁ、終わってねぇってことだ」
 
 
 
 

Ep.5→←Ep.3・コナンside



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設定タグ:名探偵コナン , 呪術廻戦 , 松田陣平   
作品ジャンル:恋愛
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やなり(プロフ) - jenniferwu3429さん» 原作は辛すぎますよね……。 (8月13日 18時) (レス) id: 38128c49d7 (このIDを非表示/違反報告)
jenniferwu3429(プロフ) - この作品を読む度に禅院姉妹のことを思い出すな (7月13日 3時) (レス) @page4 id: 426e07a7b9 (このIDを非表示/違反報告)
やなり(プロフ) - RIOさん» お返事遅くなってしまいすみません!コメントありがとうございます!こうしてコメントを、いただくと筆が乗ってしまう単純なわたし……(^-^; 少しづつにはなりますが更新していくので、お付き合いいただけるとうれしいですm(_ _)m (2022年5月28日 9時) (レス) id: 38128c49d7 (このIDを非表示/違反報告)
RIO - 早く続き読みたいです! (2022年5月24日 6時) (レス) @page11 id: 759836d8d0 (このIDを非表示/違反報告)
やなり(プロフ) - sou様、こ、光栄なお言葉をありがとうございます……!あらかじめ書き溜めた分はコツコツ更新していこうと思っています。完結まで私の妄想に付き合っていただけるとうれしいです(*´꒳`*)。ご期待に添えるように頑張りますね!! (2022年5月22日 9時) (レス) id: 38128c49d7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:やなり | 作成日時:2022年5月21日 16時

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