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肆拾壹 ページ44

一人見慣れた屋敷の中を歩く。


やがて辿り着いた病室の扉を開ければ、ベットに気だるげに寝そべる金髪の少年と目が合った。


「こんにちは。」


笑顔で挨拶をして、患者の熱を測っている女医の元へ向かう。


「先刻ぶりだね、しのぶちゃん。」


「ええ、待ってましたよ。ほら、彼が竈門君です。」


丁度治療を受けていたのは、私が今回此処を訪れた目的である竈門君だ。


「こんにちは、竈門君。」


「あ、貴方は…」


「暉柱の暉峻Aです。一応君の姉弟子にあたるのかな。」


それを聞くと彼はアッと、声を出した。


「鱗滝さんからよく話をお聞きしていました。それと、あの時は本当に有り難うございました。」


「お礼を言われる程の事はしてないよ。私は、義勇を信じただけだから。」


にこっと微笑めば、彼は何故か顔を赤らめる。さて、本題に入ろうか。そう言うと彼は何処か緊張した面持ちになった。


「畏まらなくていいよ。…ただ、彼の、不死川の話をしに来ただけ。」


貴方の妹を刺した人ね、と付け加えれば 彼は明らかに嫌悪の表情を浮かべた。


「貴方の大切な妹を刺したのだから、恨むのは仕方ないと思っている。でもこれだけは分かっていて欲しいの。


数百年続く鬼殺隊の歴史の中で、貴方達兄妹は例の無い稀有な存在。それを自覚して欲しい。」


きっとそれは彼等自身も分かっている。それでも、


「…鬼殺隊の中には、鬼と成ってしまった 大切な家族や仲間を殺さざるを得なかった者も少なくはない。


だから彼を庇う訳ではないけれども、少しはその気持ちを分かってやって欲しい。」


「…はい、頭突きをさせてもらえたら許そうと思います。」


…ん?


何かずれている様な気もするけれども、分かってくれたならいいか。


その時かりかりと何かを引っ掻く音がして、箱の中から一人の少女が姿を現した。


「こんにちは、禰豆子ちゃん。」


笑顔で挨拶をしてみるも、反応はない。ただじっと此方を見つめ続ける。


何かあったかな、と懐に探りを入れると私用で買ったあるものが出てきた。


「禰豆子ちゃんが、食べられるかは分からないけれど。」


小瓶に詰められた色とりどりの金平糖を手渡せば、次の瞬間彼女は此方に飛び付いてきた。


躊躇うこと無くその体を抱き止めると、気持ち良さそうに頭をすりよせてくる。


焦る炭治郎君を余所に、優しく頭を撫でてあげる。彼女は心地良さそうに目を細めていた。

肆拾貳→←間



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mikki-(プロフ) - 酸漿さん» ひぇ……お友達さん絵が上手すぎやしませんか????貴方の作品もお友達さんの絵も好きです応援してます!! (2019年7月29日 19時) (レス) id: df35f93799 (このIDを非表示/違反報告)
酸漿(プロフ) - mikki-さん» 友達が書いてくれたものです。登場人物紹介に載せているのは、角&耳っこメーカー様からお借りしたものです。紛らわしくてすみません。 (2019年7月29日 19時) (レス) id: 511b02f073 (このIDを非表示/違反報告)
mikki-(プロフ) - 初めまして。質問なのですが、表紙のイラストは酸漿様が描いたものなのですか?教えて下さい (2019年7月29日 18時) (レス) id: df35f93799 (このIDを非表示/違反報告)
酸漿(プロフ) - 金糸雀さん» その通りです。夢主の母を鬼にしたのも彼です。彼は自ら会いに来るまでは待つ、という約束を律儀に守っています。 (2019年7月7日 20時) (レス) id: 511b02f073 (このIDを非表示/違反報告)
金糸雀 - まさか、過去の話に出てきて鬼は上弦・壱ですか? (2019年7月7日 1時) (レス) id: 359e27b0ea (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:酸漿 | 作成日時:2019年6月16日 19時

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