參拾伍 ページ37
「では、手紙を。」
…手紙?
「こちらの手紙は元柱の鱗滝左近次様から頂いたものです。一部抜粋して読み上げます。」
そんな事、全く知らなかった。
「炭治郎が鬼の妹と共にあることをどうか御許しください。禰豆子は強靭な精神力で人としての理性を保っています。飢餓状態であっても人を喰わず、そのまま二年以上の歳月が経過致しました。
俄には信じ難い状況ですが、紛れもない事実です。もしも禰豆子が人に襲いかかった場合は、竈門炭治郎及び…」
まさか、
「鱗滝左近次、冨岡義勇が腹を切ってお詫び致します。」
…何故。
「何故私に何も言わなかった。」
相談位、私にしても良かった筈だ。
他の柱達が口々に批判する中、怒りを込めて呟く。
…その時義勇の肩がびくりと動いたのを見逃さなかった。
「確かにそうだね。人を襲わないという保証ができない、証明ができない。ただ、」
ふと我に返り、お館様の話に集中する。
「人を襲うということもまた証明ができない。」
…えぇ、その通りです、お館様。
「禰豆子が二年以上もの間人を喰わずにいるという事実があり、禰豆子のために三人の命が懸けられている。
これを否定するためには、否定する側もそれ以上のものを差し出さなければならない。」
「……っ」
「……むぅ!」
「それに炭治郎は鬼舞辻と遭遇している。」
「!?」
「そんなまさか…」
「柱ですら誰も接触したことが無いというのに…!」
「こいつが!?」
「どんな姿だった!?能力は!?場所はどこだ!?」
「戦ったの?」
「鬼舞辻は何をしていた!?」
「根城は突き止めたのか!?」
「……」
「おい答えろ!!」
「黙れ俺が先に聞いているんだ。」
「まず鬼舞辻の能力を…」
お館様が口に指を当てたその時、一瞬で静まり返る。
「鬼舞辻はね、炭治郎に向けて追っ手を放っているんだよ。その理由は単なる口封じかもしれないが、私は初めて鬼舞辻が見せた尻尾を掴んで離したくない。
恐らくは禰豆子にも、鬼舞辻にとって予想外の何かが起きているのだと思うんだ。」
……。
「分かってくれるかな?」
その言葉に、殆どの者が黙る。だが、
「わかりませんお館様。人間なら生かしておいてもいいが、鬼は駄目です。承知できない。」
…やっぱり、君は、
次の瞬間、彼は刀を抜いて己の手を斬り付けた。
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mikki-(プロフ) - 酸漿さん» ひぇ……お友達さん絵が上手すぎやしませんか????貴方の作品もお友達さんの絵も好きです応援してます!! (2019年7月29日 19時) (レス) id: df35f93799 (このIDを非表示/違反報告)
酸漿(プロフ) - mikki-さん» 友達が書いてくれたものです。登場人物紹介に載せているのは、角&耳っこメーカー様からお借りしたものです。紛らわしくてすみません。 (2019年7月29日 19時) (レス) id: 511b02f073 (このIDを非表示/違反報告)
mikki-(プロフ) - 初めまして。質問なのですが、表紙のイラストは酸漿様が描いたものなのですか?教えて下さい (2019年7月29日 18時) (レス) id: df35f93799 (このIDを非表示/違反報告)
酸漿(プロフ) - 金糸雀さん» その通りです。夢主の母を鬼にしたのも彼です。彼は自ら会いに来るまでは待つ、という約束を律儀に守っています。 (2019年7月7日 20時) (レス) id: 511b02f073 (このIDを非表示/違反報告)
金糸雀 - まさか、過去の話に出てきて鬼は上弦・壱ですか? (2019年7月7日 1時) (レス) id: 359e27b0ea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:酸漿 | 作成日時:2019年6月16日 19時