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「はぁ、良い気持ち。」


硫黄の匂いが鼻孔を擽る。お湯は程好い熱さで全身の筋肉が緩み 疲れた身体に染み渡る。


任務帰りに泊まる事となった藤の家で、一人温泉を堪能する。すると突然騒々しい声が聞こえてきた。


目を閉じ、耳を澄ます。


「早く入りたい!」


「ちょっとこら、走らないの!」


「まぁまぁ、たまには良いじゃない。」


がらりと硝子戸が開き、予想した通り 三人の女性が姿を現した。


「今晩は、今日は良い夜ですね。」


湯に浸かったまま 彼女達に向かって微笑みかける。するとその中の一人が タオルを巻いたまま器用に此方に駆け寄ってきた。


黒髪で澄んだ色をした瞳が美しい女性だ。彼女はしゃがんでじっと此方を覗き込み、口を開いた。




「貴方は天女ですか?」




思わず吹き出してしまった。


「ふふ、ただの人間です。初めまして、私はAと申します。」


「…まさか、暉柱様で御座いますか?」


「はい、そうです。」


「きゃー、すみません、すみません! ご無礼お許し下さい!」


「気にしないで下さい。それより貴女方は…」


「私達は音柱、宇髄天元の妻で御座います。」


「あら、それは後で挨拶をしに行かなければならないですね。」


大きく伸びをして、お湯から上がる。少し眩暈がしたが、体はほかほかと温かく、気分が良かった。


「もし宜しければ、お友達になってくれませんか。」


三人はあっけらかんとした表情で此方を見つめる。まぁ、驚くのも無理はないだろう。


「実はまだこの地に任命されたばかりでして。親しい者が少ないのです。」


だからお友達になってくれませんか、首を傾げもう一度そう頼むと、先程天女ですか等と言った女性が私の手を掴んだ。


「是非! お友達になりたいです!あ、私は須磨です!」


「…私はまきをと申します。って、この馬鹿!何時までA様の手を握り続けているのよ!」


「あらあらそんなに喧嘩しないの。Aさん、私は雛鶴と申します。これから宜しくお願いしますね。」


月明かりの下、何時もとは違う 楽しい夜を過ごした。

玖→←漆



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mikki-(プロフ) - 酸漿さん» ひぇ……お友達さん絵が上手すぎやしませんか????貴方の作品もお友達さんの絵も好きです応援してます!! (2019年7月29日 19時) (レス) id: df35f93799 (このIDを非表示/違反報告)
酸漿(プロフ) - mikki-さん» 友達が書いてくれたものです。登場人物紹介に載せているのは、角&耳っこメーカー様からお借りしたものです。紛らわしくてすみません。 (2019年7月29日 19時) (レス) id: 511b02f073 (このIDを非表示/違反報告)
mikki-(プロフ) - 初めまして。質問なのですが、表紙のイラストは酸漿様が描いたものなのですか?教えて下さい (2019年7月29日 18時) (レス) id: df35f93799 (このIDを非表示/違反報告)
酸漿(プロフ) - 金糸雀さん» その通りです。夢主の母を鬼にしたのも彼です。彼は自ら会いに来るまでは待つ、という約束を律儀に守っています。 (2019年7月7日 20時) (レス) id: 511b02f073 (このIDを非表示/違反報告)
金糸雀 - まさか、過去の話に出てきて鬼は上弦・壱ですか? (2019年7月7日 1時) (レス) id: 359e27b0ea (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:酸漿 | 作成日時:2019年6月16日 19時

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