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独占 ページ42

「話は以上だ。来い、A。」

次の瞬間、彼の目の前に 跪いた少女が現れる。

目で捉えられなかったあまりの速さに、その場に居た幾人かは息を呑んだ。

「面を上げよ。」

そこで初めて、少女の面貌が明らかとなる。

金の髪に映える白い肌、長い睫毛に縁取られた淡紅色の瞳。そして雪の結晶を模した耳飾り。

「…お前に、上弦の陸の位を与える。」

次の瞬間、その瞳に字が刻まれた。

「有り難き幸せに存じます。これからも精進して参ります。」

男は満足げに頷いて 姿を消した。




「いやぁ、A殿、久しぶりだなぁ。最近屋敷に来てくれなくて寂しかったぞ。」

童磨が笑顔で駆け寄ってくる。

「ヒョヒョッ、童磨殿のお知り合いで?」

壺から頭を生やした奇怪な鬼が、首を傾げ 此方を見上げる。

「うん、俺の友人だよ。」

「それにしても美しい御方ですな。是非、私の作品に…ゴホゴホン、今のは忘れて下さい。」

童磨は此方を見てにこりと笑う。

「玉壺殿に付いて行くのも良いけどなぁ。A、この後時間あるかい? もし良かったら俺とお」

次の瞬間、彼の顔の上半分が 消えた。

「失せろ。」

と同時に猗窩座の左手が地に落ちる。

「猗窩座…」

速い、なぁ。

「お前は…度が過ぎる…」

これが、上弦の壱。

猗窩座を諭し始めた彼を見ながら、心の中で溜め息をつく。


上を目指す以上、やはり…


「私の…言いたいことは…わかったか…」

六つの目が、猗窩座を見つめる。

「わかった。」

…?

「俺は必ずお前を殺す。」

どうして君は…。

「そうか…励む…ことだ…」

一瞬、目が合った。

でも次の瞬間、彼は姿を消していた。

「さよなら黒死牟殿。さよなら!」

彼が消えた方向へ、童磨は笑顔で別れを言う。

「何だか俺は会話に入れて貰えなかったような気がするのだが、考え過ぎだよな 猗窩座殿。」

と、猗窩座にひょいと抱えられ、無理やりその場を後にしようとする。

まだ話してる途中なのに、と叫び声が聞こえ、答えようとしたが何時の間にか元居た庭園に戻っていた。

下ろして貰い、ずっと疑問に思っていた事を口にする。

「ねぇ、猗窩座。最近私を童磨の所に行かせないのは、独占欲?」

すると奴は朱に染まった顔を背けた。

「…悪いか。」

蚊の鳴くような微かな声に思わず笑って、奴の頭に手を回す。


こんなにも側に居て、何度も肌を重ねてきたっていうのに。

本当、愛い奴。


重なった唇を離し、笑い合った。

「「愛してる。」」

膚浅→←幸せ if



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まゆまゆ(プロフ) - 愛する猗窩座と世の中で一番惚れてる実弥との作品 キュンキュンしながら読ませて貰ってます(*´∀`)嗚呼現実で猗窩座に愛してるって言われて接吻したい(//∇//)実弥にも包まれたい (2021年3月9日 12時) (レス) id: 442319c796 (このIDを非表示/違反報告)
酸漿(プロフ) - まりなさん» ご指摘有り難うございます。修正しました(^-^) これからもよろしくお願いします。 (2019年4月13日 19時) (レス) id: 511b02f073 (このIDを非表示/違反報告)
美桜 - 酸漿さん» コメント多くてごめんなさい。リクエスト嫌なのでしたら書かなくていいです。 (2019年4月10日 10時) (レス) id: 87339a530e (このIDを非表示/違反報告)
まりな(プロフ) - めちゃおもしろいですす!!あ、時任じゃなくて時透じゃないですかね、、違ったらごめんなさい!! (2019年4月8日 21時) (レス) id: 960cfe9f67 (このIDを非表示/違反報告)
酸漿(プロフ) - 美桜さん» ありがとうございます。これからも更新頑張ります。 (2019年2月11日 13時) (レス) id: 511b02f073 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:酸漿 | 作成日時:2018年9月30日 22時

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