信頼 another side ページ30
「カァ！手紙、手紙ィ！煉獄Aからの、最後の手紙ィ！」
朝から忙しない鴉から 運ばれてきた手紙を受け取り、部屋に戻って、達筆な字で短く綴られたそれを読む。
『生前は、お世話になりました。
より一層のご活躍を祈念致しております。
事情ご賢察の上、乱文ご海容下さい。』
「A…。」
目を閉じれば甦る、共に過ごした懐かしい日々。
鬼殺隊で、ある程度の地位を獲得した頃、お館様からある申し出を受けた。
「今日から、宜しく御願いします。」
それは、まだ鬼殺隊に入ったばかりの煉獄Aの師匠と成る事だった。
彼女は期待の新人として持て囃されていたが、その正義感の強さ故に他者を庇って怪我をする事が多く、憂慮されていた。
その為、私が一時的に彼女の師となり、行動を共にする事で、彼女に上手い立ち回り方を教える、という事だった。
彼女は、優秀だった。
歳に見合わぬ 極められた剣技と、ずば抜けた判断力。
恐らく、幼い頃から鍛練をしてきたのだろう。
そして、異常な程強い正義感。
人間を助ける為なら、自分の事等全く顧みないその姿は、ある意味異常で、そして私には 随分無理をしているように見えた。
だから一度だけ 聞いたことが有った。
何故お前は其処までして人間を助けようとするのか、と。
すると彼女は、今にも消えてしまいそうな程儚く 寂しげに微笑んだ。
『兄さんと、約束しましたから。』
…お前は、何を隠している？
私の元を離れた後、彼女から定期的に来るようになった手紙は、年を重ねる毎に 内容が明るくなっていった。
…でも、あの悲しげな表情の理由は、結局分からず、いや、分かってやれなかった。
それが、心残りだ とそっと手紙を握りしめたその時、違和感を感じた。
この手紙、厚い…？
包まれていた紙を調べてみると、小さく折り畳まれた薄い紙が出てきた。
恐る恐る、それを開けて、そして目を見開いた。
『 不 退 転 』
赤い文字、彼女の血なのか 若干黒く変色したそれは、かつて私が彼女に教え、そして言葉を交わした 私達にしか分からない言葉。
「まさか……。」
外に出て、其れを日に翳せば、それはまるで溶けるように空中に消えた。
本当に…。
信じられないが、此れは事実なのだろう。
彼女が、私が他の誰にも洩らさない事を信じて送ってきてくれたのだ。
それなら私も、彼女を信じよう。
真っ白になった紙を、もう一度強く握りしめた。
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まゆまゆ(プロフ) - 愛する猗窩座と世の中で一番惚れてる実弥との作品 キュンキュンしながら読ませて貰ってます(*´∀｀)嗚呼現実で猗窩座に愛してるって言われて接吻したい(//∇//)実弥にも包まれたい (2021年3月9日 12時) (
レス) id: 442319c796 (このIDを非表示/違反報告)
酸漿(プロフ) - まりなさん» ご指摘有り難うございます。修正しました(^-^) これからもよろしくお願いします。 (2019年4月13日 19時) (レス) id: 511b02f073 (このIDを非表示/違反報告)
美桜 - 酸漿さん» コメント多くてごめんなさい。リクエスト嫌なのでしたら書かなくていいです。 (2019年4月10日 10時) (レス) id: 87339a530e (このIDを非表示/違反報告)
まりな(プロフ) - めちゃおもしろいですす！！あ、時任じゃなくて時透じゃないですかね、、違ったらごめんなさい！！ (2019年4月8日 21時) (レス) id: 960cfe9f67 (このIDを非表示/違反報告)
酸漿(プロフ) - 美桜さん» ありがとうございます。これからも更新頑張ります。 (2019年2月11日 13時) (レス) id: 511b02f073 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：酸漿 | 作成日時：2018年9月30日 22時
