決着 ページ18
赤い、赤い血が飛び散った。
目の前に飛び出してきた 黒い物体が奴の拳を受け止めたのだ。
鴉、と叫びたくなるのを必死に抑える。
鴉が、庇ってくれた。
奴は驚いた顔で動きを止めた。その一瞬の隙を_
“脚を停めて気を最大限に練り上げ、両腕を含めた全身を捻った構えから繰り出す”
煉獄兄さんから最後に教えてもらった技で、けりをつける。
全集中 炎の呼吸 奥義 玖ノ型 煉獄
‘一瞬で多くの面積を根こそぎ抉り斬る’
諸に技を食らった奴は、膝をついた。
この好機を、決して逃がしはしない。
用意していた、藤の花の毒が塗られた小刀を、奴に向かって二本投擲する。
これでもう、動けない筈だ。
そのまま刃先を、奴の頚に当てる。
「言い残す事はあるか?」
それは、せめてもの慈悲。
身体の大部分が抉れたまま再生しない奴に向かって、語りかける。
後、この頚を掻ききれば、全てが終わる。
…何だろう、この違和感は。
何か、何か重大なことを見落としている。
奴はゆっくりと此方を見上げた。
「お前は、俺と同じだ。だから、」
その瞳で、分かってしまった。奴は、まだ諦めていない!
急いで頚を斬り裂こうと、刀を握る手に力を込めた瞬間。
__ベン
此処で聞こえる筈がない、琵琶の音。
その瞬間禍々しい鬼の気配が、背後に立ち込め、咄嗟に後ろを振り向けば、“弐”と刻まれた目が楽しそうに細められ、直後羽交い締めにされた。
…やられた。
まさか、上弦の鬼が協力しているとは。
このままでは本当に不味い。
脱出しようともがきながら、大きく息を吸って_
「い”っ、」
次の瞬間、重い一撃が鳩尾にのめり込み、痛みで一瞬意識が飛ぶ。
激しく咳き込みながら、奴を、猗窩座を睨み付けた。
何故……奴は何故動ける?
「童磨…お前の力を借りるのは癪だが、今回は助かった。」
「藤の花の解毒剤、歯に仕込んどいて正解だっただろう? まぁ、こんなに上手くいくとは思わなかったけど。」
…そういうことか。私の、想定不足だ。
絶望的な状況に変わりはないが、まだ望みは潰えていない。刀を握る力を込め、もう一度大きく息を_
「この物騒なもの、捨てとくね。」
後ろの鬼に呆気なく刀を奪われ、後方に投げ捨てられてしまった。
甘かった
悔しさで涙を流しながら歯噛みしても、勿論現実は変わらず、直後首に走った強い衝撃によって、意識は深い闇の中に落ちていった。
ごめんなさい、兄さん。
約束、果たせなかった。
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まゆまゆ(プロフ) - 愛する猗窩座と世の中で一番惚れてる実弥との作品 キュンキュンしながら読ませて貰ってます(*´∀`)嗚呼現実で猗窩座に愛してるって言われて接吻したい(//∇//)実弥にも包まれたい (2021年3月9日 12時) (レス) id: 442319c796 (このIDを非表示/違反報告)
酸漿(プロフ) - まりなさん» ご指摘有り難うございます。修正しました(^-^) これからもよろしくお願いします。 (2019年4月13日 19時) (レス) id: 511b02f073 (このIDを非表示/違反報告)
美桜 - 酸漿さん» コメント多くてごめんなさい。リクエスト嫌なのでしたら書かなくていいです。 (2019年4月10日 10時) (レス) id: 87339a530e (このIDを非表示/違反報告)
まりな(プロフ) - めちゃおもしろいですす!!あ、時任じゃなくて時透じゃないですかね、、違ったらごめんなさい!! (2019年4月8日 21時) (レス) id: 960cfe9f67 (このIDを非表示/違反報告)
酸漿(プロフ) - 美桜さん» ありがとうございます。これからも更新頑張ります。 (2019年2月11日 13時) (レス) id: 511b02f073 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:酸漿 | 作成日時:2018年9月30日 22時