精霊 another side ページ12
額から汗が流れ落ちるのも気にせず、刀を振るう。
少し遅れて、目の前の竹がバラバラになって落ちる。
手足が千切れそうな程
肺が、心臓が、破れそうな程
それでも まだ、足りない。
もっと、もっと、もっと_
「頑張っているね。」
突然聞こえた声に、驚いて辺りを見渡すと、館に植えられた木々の間から一人の少女が現れ、そして、目を奪われた。
太陽の光で輝く金の髪、端正な顔に浮かぶ微笑み、炎のような強い意志を感じさせる真っ直ぐな瞳。
太陽の精霊。
頭に浮かんだ言葉に、一人納得した。
「実弥は外出中か…。君は噂の継子かな?」
惚けながら、頷く。
「それじゃあ、これを彼奴に渡して貰っていいかな?」
手渡されたのは、ほんのりと甘い香りがするおはぎが入った袋だった。
「実弥、好きだよね。」
そう言ってにっこりと微笑む姿に、胸が締め付けられる。
「貴方は…?」
やっとのことで絞り出した声に、彼女は笑って答えた。
「自己紹介 まだだったね。私は煉獄A。君の師匠、実弥と同期で 炎柱の義理の妹だよ。君の名前は?」
「時透…無一郎。」
「そっか、時透君か。これから宜しくね。」
差し出された手を、躊躇しながら握ると、思った以上に強く握り返された。
「鍛練中だったんだよね。私が、相手をしてあげようか?」
突然の提案に、反射的に頷く。
格好悪いところは見せられないね、と彼女は笑って、羽織を脱いだ。
彼女は改造された隊服、俗にいうチャイナ服を身に纏っており、それはからだの線を強調していて、正直目のやり場に困った。
彼女はその場にあった木刀を手にすると、その切っ先を此方に向けた。
「それじゃあ、行くよ。」
頷いて、雑念を振り払い、此方も構える。
油断したら、必ず負ける。確信があった。
だから躊躇することなく技を繰り出した。
全集中 霞の呼吸 弐の型 八重霞
しかし、
繰り出した幾重もの斬撃を全て受け流したかと思うと、大胆にも懐まで踏み込み、鋭く闘気を纏った一撃を顎に…着く直前に止めた。
余りにも無駄のない動きに感激したのと同時に、緊張感から解かれ、そのままぺたんと地面に座り込んでしまった。
格が、違った。
油断したら、なんて甘い考えだった。
「それじゃあ、実弥に宜しくね。」
そう言って姿を消した彼女に向かって、一人呟いた。
あんなの…頭に霞が掛かったって
「忘れられるわけがない。」
あの日以降 何故か彼女の姿が頭から離れることはなかった。
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まゆまゆ(プロフ) - 愛する猗窩座と世の中で一番惚れてる実弥との作品 キュンキュンしながら読ませて貰ってます(*´∀`)嗚呼現実で猗窩座に愛してるって言われて接吻したい(//∇//)実弥にも包まれたい (2021年3月9日 12時) (レス) id: 442319c796 (このIDを非表示/違反報告)
酸漿(プロフ) - まりなさん» ご指摘有り難うございます。修正しました(^-^) これからもよろしくお願いします。 (2019年4月13日 19時) (レス) id: 511b02f073 (このIDを非表示/違反報告)
美桜 - 酸漿さん» コメント多くてごめんなさい。リクエスト嫌なのでしたら書かなくていいです。 (2019年4月10日 10時) (レス) id: 87339a530e (このIDを非表示/違反報告)
まりな(プロフ) - めちゃおもしろいですす!!あ、時任じゃなくて時透じゃないですかね、、違ったらごめんなさい!! (2019年4月8日 21時) (レス) id: 960cfe9f67 (このIDを非表示/違反報告)
酸漿(プロフ) - 美桜さん» ありがとうございます。これからも更新頑張ります。 (2019年2月11日 13時) (レス) id: 511b02f073 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:酸漿 | 作成日時:2018年9月30日 22時