38話 君の運命の人は僕じゃない ページ41
「そうだね。
お父さんとお母さんも私と同じ大学通ってて、2人もそこで出会って学生結婚したんだって」
「へぇ〜。なんかいいな、そういうの」
同じ学部の男子や数少ないサークルの男子と付き合う自分を想像してみる。
友達として接しているのは楽しいのだけど、付き合うのは多分違うなとコレジャナイ感に苛まれる。
私の学科は理系で男女比で言ったら９対１と選り好みできる状態だ。
講義の時も実験のグループの時も常に男子諸君に囲まれていて、姫状態だ。それは友達も同じだった。
学籍番号順でグループを組むから仕方ないにせよ、本当は予備校時代の女子グループ5人で実験したい。
私の家について、馬小屋の方に彼を案内する。
よしよしと光はさも飼い主かのようにアンジェラの頭を撫でる。
私は傍に置いてある乾草をあげる。この子は体が立派な分、餌代も結構馬鹿にならない。
光が帰ったらシャンプーして体も洗わなきゃな。
普段はそんなに体は洗う必要は無いが、真夏は丸洗いする必要がある。
馬小屋の扉が開いて誰かが入ってくる足音が聞こえた。
扉の方を見てみると、小太りな猫のトムを抱えた弟がいた。
「あ、デート中だったの。ごめんなさい邪魔して」と気まずそうな顔して立ち去ろうとする弟を「待って！違うよ！誤解だって！」と私は慌てて引き留める。
「わかったから、光さんとのことお父さんには言わないでやるから、姉ちゃん早く帰ってこいよ〜。いやぁ、青春してんなぁ、ヒューヒュー！」
弟は冷やかす。なんの嫌がらせだろうか。
「れ、怜くん、俺今他に好きな人いるし、そんなんじゃねーよ」
弟の浮かれたていた顔が一瞬にして真顔に戻った。
「え、そうなんですか？でもお姉ちゃんが好きって_____ 」と何か言おうとした弟の口を抑えて「あはは〜、何言っちゃってんのかしらこの子。気にしないで」と言って誤魔化す。
光のことが好きってこと、弟には既にバレていた。彼は母親に似て勘が鋭い。
猫のトムと光が戯れている間、私は弟を馬小屋の外に連れ出した。
「光ね、いい感じの女の子がいるの。
初めて彼女出来るかもしれないって浮かれてて、私も光が喜ぶ姿を見るのが嬉しいから友達として応援してる。
だからもう、光の前であんなこと言わないであげてね」
「ごめん、俺、デリカシーなかったね。そろそろ戻るよ」
「いいの。気にしないで。
私もトムも連れてあとから追いかける」
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作者名：西木野海未 | 作成日時：2021年10月5日 3時
