30話 嫉妬と羨望 ページ32
「ってことで、平日の活動は大学生しかいないから、あんまり行かない」
「お笑いサークルは？入んないの？」と村ちゃんが聞く。
「うーん……今はいいや。村ちゃんのサークルは楽しそうだけどね。日高とお笑いの真似事やってるのが1番楽しいから」
「ってか、なんで○○大の女子お断りなの？○○大のサークルだから、入る権利あるよね」と光が聞く。
「私もそう思うけど。でも、うちの大学の男子が他大学のキャピキャピした女子と遊びたいからじゃない？
○○大って言ったら、女子からチヤホヤしてもらえるしそれが気持ちいいんでしょ」
「くだらねぇ。入んなくていいよ、そんなサークル」と光が言った。
「いや、でも男子の気持ちもわかんなくもねぇなぁ。
キャバクラみたいなもんでしょ〜」とヘラヘラ笑う村ちゃんを私は一瞬、睨む。
「じゃあ、キャバクラ行けよ」と言い捨てた。
彼のこういうところは本当に苦手だ。酒豪で喫煙可でキャバクラギャンブル好きなところ。だけど、羨ましくもある。
私の憧れである天才フレディ・マーキュリーも生前はそんな破天荒な人間で、私もそうなりたいと思ったけれど、真面目な部分が邪魔をしてなかなかできない。
ライブ中に彼の仕草を真似するのが精一杯だった。
もしかしたら苦手なんじゃなくて、嫉妬してるのかもしれない。
「やだぁ、こわ〜い」と村ちゃんは私の睨みにも動じない。動じないどころか、ぶりっ子して交わしてやがる。
この男、かなりヤバい……！
「そういやユニット組むことになったんだけどさ、誰がいいと思う？」
「俺は宇野ちゃんかなぁ」と村ちゃん。
「にっしー。絶対にっしー！」と光は真面目な顔して言う。
「CCCのアルバムよかったよ〜！特に宇野ちゃんとの歌ってた『淋しい熱帯魚』よかった！」と村ちゃんは満面の笑みだった。
「村ちゃん、アルバム買ってくれたの？ありがとう！」
CCCってアルバムは私達AAAがカバーした様々な名曲が収録されている。
レコーディングの時はかなり楽しかった。
私はソロで東京スカパラダイスオーケストラの美しく燃える森を歌わせていただいた。
他にも私の好きなQueenのDon't Stop Me NowやBeatlesのYellow Submarineもメンバー全員で歌った。
「良さそうだったからね。ってか、俺の意見より野田氏の方が参考になるかもよ。AAAのCD、全部持ってるし、何回かライブ行ってるし」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 11人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：西木野海未 | 作成日時：2021年10月5日 3時
