25話 彼女のトップシークレット ページ27
他のメンバーの子も俺達に挨拶に来てくれた。
見た目とは裏腹にいい子そうだなぁ、みんな。
Aちゃんがまた他の芸人に呼ばれて、一緒に写真を撮ってたりした。
「Aは相変わらず人気者だよな。今はＣＭとか出ちゃって完全に違う世界の人みたい」と語る野田氏の目はどこか寂しそうだった。
「何〜、光、寂しいの？」と秀太くんが茶化す。
「そんなんじゃねーし」と野田氏は間髪を入れずに否定する。
「あのCM以来、相変わらず小池徹平くんと仲良いみたいよ。ゲーム仲間だって」と挨拶したあとそのままその場に残っていたにっしーが言ったが「あー、そう。良かったねー」と野田氏は興味なさげだった。
「俺のことはいいから。 ってか斉藤、Aのこと好きなんでしょ？デートとか誘うの？」
「ん〜、まぁ、タイプっちゃタイプだけど未成年はキツいよ。あと1年待つよ」
「斉藤くん、案外律儀なんだね〜」と西島くんが言う。彼は今までずっと鈴木くんと呼んでいたのに、適応するのがすごい速い。
「ってか、野田氏、逆に俺がAちゃんのこと好きになっていいの？」
「えっ……」
野田氏の表情が一瞬固まり、時が止まったように思えた。
Aちゃんの話をする時の彼の瞳はいつも優しかった。ただの女友達の話をする時とは違う。
そして、Aちゃんも、取り巻きに囲まれていてもずっと野田氏のことを見ていた。
2人は友達同士だけど、多分どこかで友情とは違う特別な感情を抱いてるような気がした。
俺にはわからないような時間の積み重ねがあって、説明できないような見えない絆がふ2人の中には確実にあった。
「なんで？」
「いや、なんもない。忘れて」
「ってか、斉藤くん、Aのどこが好きなの？」と秀太くんが聞いた。
「まず顔でしょ、儚げな雰囲気とか大人しくて繊細そうっていうか、俺ちょっと中身が脆い子が好きなの」
俺がそう言うと、皆一斉に首を傾げる。何か変なことを言っただろうか。
「いや、あいつ、ああ見えて結構気強いよ」と野田氏が告げた。
「結成したての時なんか與と毎回のようにケンカしてたし、俺ともたまにね」
西島くんは少し意地悪そうに微笑む。
「そうだったよ、懐かしい！A、秀太以外の男子メンとは一通りケンカしてたでしょ」と日高くんも笑った。
「ハハッ、確かに！俺とケンカしなかったの奇跡なくらい、他の4人としょっちゅう言い合ってた」と秀太くんが言った。
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作者名：西木野海未 | 作成日時：2021年10月5日 3時
