24話 会いたくて、今 ページ26
「いや、全然！知らない人でもお笑いの話とかできるのすっごい嬉しいです」
表情に乏しいが、大人しそうでお淑やかそうで絶対いい子だ。
ますます彼女のことが気になっていく。
「え、いつから劇場に通われてたんですか？」
「20歳ぐらいからかなぁ」
「すごっ！えっ、もしかしたら、野田クリスタルのこともそん時から？」
「そうだよ！
僕すごい野田クリスタルのファンで、こういう狂った人に漫才やらせたら面白いだろうなぁと思ってコンビ組んだの」
「えっ、そんな前からファンなんですか！？」
この子にお笑いの話をさせたら止まらない。
それから俺達は野田クリスタルを始めとするここの劇場に出入りしてる芸人のことや、プロの芸人まで芸人話に花が咲いた。
俺らのネタも笑ってみてくれるし、お笑いの趣味も合うし絶対にこの子と会う機会をここで終わりにしてはならない。
「ごめんなさいね〜、斉藤さん。
うちのAちゃん、好きなこと話し出すと止まらなくて〜」
日高くんが小さい娘を宥めるお母さんみたいに言う。
てっきりこのグループのまとめ役は日高くんかなと勘違いしていた。
「全然〜！今日は見に来てくれてありがとね」
「あの、俺らもまたマヂカルラブリーのネタ見に行ってもいいですか？」と末吉くんが聞く。彼も野田氏と同じように人見知りが激しいようだ。
「うん、いいよ！
ネタの感想とか聞かせてくれたら嬉しいな♬︎」
「ってか、3人とも斉藤にもタメ口でいいからね。年も俺らとちょっとしか変わんないんだし」と野田氏がAちゃんと秀太くんと日高くんに言う。
野田氏がお友達と話してるの初めて見たかも。
劇場の時とは違って、素の姿は案外普通なんだな。
ちょっと新鮮だ。
「そうだよ、俺野田さんと2つしか変わんないし。君たち、ちなみにいくつなの〜？」
「20です」「俺も」と日高くんと末吉くんが答えて、「私、19です」とAちゃんが答える。
「A、誕生日早いから学年で言うと斉藤の4個下だな」
「えっ！？斉藤さん、直也より年下なの！？」
そんなことより、俺は彼女の年齢に驚きだ。てっきり同い年ぐらいかと思ったら未成年かぁ〜。未成年はキツいよぉ。彼女に対しての恋愛感情が少し薄れていく。
彼女が言ってた直也くんはAAAのリーダーで俺の2個上らしい。その人はそんな感じはしてたけどよぉ。
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作者名：西木野海未 | 作成日時：2021年10月5日 3時
