NEO SKY, NEO MAP! (ページ22)

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20話 2つの翼ページ22

西島 side

鈴木くんに会うのは学祭の時以来だった。

知り合いの芸人は彼しかいないので「もしかしたら」と思って声をかけた。

光が誰かとコンビ組んだ方がいいと思った理由は、彼のボケを独特な世界観を上手く説明してくれる人が横にいた方がいいと思ったから。

常に独りで戦ってきた彼がもうこれ以上ネタでスベり続けているのを目の当たりにするのは辛かった。

かれこれ1年半以上は見続けた。

自分を見ているようで辛かった。

中野の劇場で鈴木くんと待ち合わせをして、始まる前までパイプ椅子に座って少し話した。

「もしかしたら、鈴木くんなら光のいい相方になれるかもしれないと思って。

光には裏口で待っててって言っといたから、これ終わったら一緒に行こう」

「ありがとう、西島くん。

一か八かだけど声かけてみる。

話変わるけどさ、あの娘知らない？

背高くて脚長くて顔めっちゃ整っててセレーナ・ゴメスみたいな感じの子。ちょっと前まで劇場に来てたんだけど最近見かけなくて」

うわ、それ絶対Aのことじゃん……

今は知らんぷりしとこ。

「さあ？俺よくわかんないや」

野田 side

劇場に向かう途中、街の家電量販店のテレビでAと小池徹平くんが出ていた三ツ矢サイダーのCMが流れていた。

CMが終わるまでずっと立ち止まって40インチのテレビに釘付けになっていた。

A、本当の芸能人になったんだ……

彼女と小池徹平くんが出ていたCMは見た目の相性も良かったおかげで、世間では結構好評だった。

路上ライブをしていたのがついこの間のような気がするのに。随分と遠くへ行ってしまったようだ。

俺は変わらず劇場でネタをやって、そのまますぐにバイトに行って……と変わらぬ一日を過ごそうとしていた。

しかし、今朝俺の元に届いた西島くんからの1本のメールがイレギュラーな日が来るであろうことを俺に予感させていた。

『今日は光とコンビ組みたいって言ってる俺の友達と中野の劇場に行くんで、楽しみにしててね！帰りに裏口で待っとく』

約束通り、劇場のラストの出番を終えて劇場の裏口まで足を運んだ。

いつも劇場に来ていた眼鏡の大柄な男に声をかけられた。

「野田くん。僕は大学お笑いチャンピオンです。1回、一緒にやってみませんか？」

1年間スベり続けていて、ずっと暗闇の中にいた俺に一筋の光が射したようだった。

俺は藁にもすがる思いで「いいよ」と申し出を受け入れた。