NEO SKY, NEO MAP! (ページ19)

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17話ミラクル✩チャンスページ19

You side

AAAのライブツアー真っ只中の6月のある日。

私にCMのオファーが舞い込んだ。

たまたまクイズ番組を見ていた会社の広報部の方が私を起用したいと言ってくださったのだ。

CMパターンは2つあって、1つ目はハリケーン・リリ、ボストン・マリの軽快な曲に乗せて、セーラー服を着た私が海辺で自転車を漕ぐ。

その途中で好きなクラスメイト役の小池徹平くんとすれ違って途中で立ち止まり、「あの！」と彼に声をかける。

「好き」という言葉が言い出せずにもどかしいという表情をしつつも、笑顔で「これ、飲む？」と言ってサイダーを差し出す。

「ありがとう！」って太陽のような笑みを見せる彼に照れた演技をする。

そして、砂浜の石垣に座って彼と三ツ矢サイダーを飲む。

私達の横に飲料水の写真が出てきてCMは終わる。

2つ目は小池徹平くん視点で、彼は1人きりの体育館でバスケットボールの自主練をしている。

汗だくになって肩で息をしている彼に横からサイダーを差し出す。

「たまには息抜きしたら？」と笑いかける私に彼は汗を拭って「ああ」と三ツ矢サイダーを受け取る。

そこで少し手が触れて彼が顔を赤くする。

次のシーンでカットが切り替わり、体育館に座り込んで私達が三ツ矢サイダーを飲んで、飲料水の写真が出てきてCMが終わる。

企画段階の初めて顔合わせで2つの構図で撮りたいと監督が説明してくれた。

演出家の絵コンテを貰い、イメージを脳内に叩きつける。

「何か聞きたいこととかある？」と監督が言う。

「あっ、あの、自転車乗れないんですけど……」と恐る恐る言ってみる。

周囲の大人達が苦笑いする。このシーンはなんの問題もなく撮れるだろうと思っていたからだろう。

「まあ、撮影はもうちょっと先だから、その間に練習すればいいよ」

「は、はい。かしこまりました」

「氷室さんも初めてのCMってことでね、緊張してると思うけど、無理に演技しようとせずリラックスして普段通りの感じでいいからね」

「は、はい！」

「小池くんは何回か場数踏んでて慣れてると思うから、氷室さんのサポートとかよろしくね」

「わかりました！」と彼は元気よく返事する。

顔合わせ終わりに隣に座っていた彼に話しかけてくれた。

講義を終えて時間ぴったりにこの場所に来たので、顔合わせが始まる前は話せる隙がなかった。