NEO SKY, NEO MAP! (ページ16)

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14話チューインガムページ16

You side

「俺、この1年間とにかく売れなきゃって必死だった。俺がAAA引っ張っていかなきゃって。

でも、Aが戻ってきたからちょっと安心した」

にっしーは安堵の笑みを見せた。

私は蒲焼さん太郎をゆっくり開けて、口に放り込む。

なぜにっしーが生き急いでいたのかわかった気がする。少し霧が晴れたようだ。

「絶対に頑張って売れようね」

「絶対」の部分を強調して言うにっしー。目から訴える圧が強くて、並々ならぬ闘志を感じる。

私はそれに圧倒されつつも「う、うん」と首を縦に振った。

さっきまで柔らかい表情で笑っていたのに、レッスンの時のピリピリした生き急いでいるにっしーに戻ってしまった。

そして、いつもなら彼は「頑張って売れようね」なんて友達のように語りかけたりはしなかった。

それに私は少し違和感を感じていた。

西島 side

よかった。

もし俺が抜けても、Aがいればグループは安心だ。

彼女は比較的メンバーと上手くやれているし、冷静な分析力も持ち合わせているので、グループのことを良い方向に引っ張っていってくれるだろう。

彼女にならAAAを、センターのポジションを任せられる。

このグループを抜けたいなんてことはとても言えなかったが、今俺が不安に感じていること、プレッシャーに押し潰されそうなことを全部吐き出したら少し気が楽になった。

いつもなら飲み込んでしまっていた言葉も、口に出してみたらAが喜んでくれて、温かい気持ちになって少し泣きそうになった。

「そうだ、あんたのところの学祭っていつなの？」

「うちのところ学祭ふたつあるんだけど、1つ目のの皐月祭が5月で、2つ目の駒場祭が11月だよ」

「へえ、皐月祭ならもうすぐだね。何がやるの？」

「軽音部でバンド組んででるよ」

「俺、見に行ってもいい？」

「いいよ！1曲しか歌わないからすぐ終わっちゃうけど」

「全然。何担当なの？」

「ボーカルとギター。私はギターだけがよかったんだけど」

「あんた後ろでギター弾いてても目立つから、ボーカルで正解だと思うよ」

いつこの場所から離れるかはわからないが、どうせならAAAでいるうちに何でもいいから思い出作りをしようと思った。

プライベートでメンバーの誰かとご飯食べたり、遊びに行ったり、なんでもいい。

俺が今までやってこなかったこと、そして今しか出来ないことをしてみようと思った。