花が6輪 ページ7
ガス灯のぼんやりとした明かりだけの薄暗い路上。
…ああ、これは夢だ。
週に1回は見る、懐かしくも疎ましい夢。
私が大道芸をやっていた大通り。
そして、私がこの夢を嫌いな理由は＿＿
『ねぇ』
大雑把に結われたオレンジ色の髪、ごてごてと飾りの付いた大道芸用の衣装であるタキシードとシルクハットに身を包んだ中性的な外見の人物。
＿＿夢の中で、もう１人の私が目の前に立っているからなのだ。
口許は口角が上がり、今にも笑い出しそうな位なのに、目には一切の笑みも無く、澱んだ印象を与える。
今の私も同じ顔をしているのだろう。
なんて不格好なんだろう。
この夢は、自分の気味悪さが際立つから嫌いなのだ。
『ねぇ』
再度声を掛けてきた私。
「…何、」
自分と対話するのは何度やっても慣れない体験だ。しかも返事をしないとずっとねぇねぇ言うときた。
我ながらうざったい。
『…今、幸せ？』
…何度同じことを聞くんだろう。よく飽きないな。
「…幸せじゃない。何回言わせるんだよ」
幸せだったらこんなところに居ないよ、と呟くと、何時もの通り、無言で俯いた。
……ここで夢は終わり。
そのはずなのに。
＿＿＿俯いていた私は、その後直ぐ、にたぁ、と口角を更に上げてこっちを見た。
おかしい。いつもはこんなこと起きないのに。
動揺していると、ブーツの踵を鳴らしながらゆっくり此方へ歩いてくる。
『なんだ、今の私と一緒じゃん。』
……うるさい
『荘園に行ったら、変わると思ってたのにね』
うるさい、うるさい……！
『足りない何かが手に入ると思ってたのにね』
うるさいうるさいうるさい……！！
『期待してた自分がアホらしくない？』
「＿＿＿ッ、うるさいうるさいうるさい！！！！！！」
激情のあまり、スーツの懐から信号銃を取り出そうとした瞬間、手元が抑えられるような違和感に、現実へと意識を引っ張られる。
は、と目覚めたときは何時もの天井。
…そして、
「＿＿＿は、…」
「おい、大丈夫かよ……。」
「さ、べだーさん……、？」
何故サベかサベターさんが顔を覗き込んでいた。
「あー…取り敢えずその信号銃置けよ。話はそれからだ。」
言われて気付いたが、私は信号銃を握りしめていた。
「…何で、…」
それは、サベターさんへの問いでもあるし、自分自身へのものでもあった。
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こなつ(プロフ) - うう！面白すぎます…！！更新待ってます！！！素敵な作品ありがとうございます(>_<) (2022年8月20日 17時) (
レス) @page12 id: 69f5122ea8 (このIDを非表示/違反報告)
ぬん - すきです………… (2021年4月25日 1時) (レス) id: 8f4dafaac9 (このIDを非表示/違反報告)
No.3(プロフ) - え……すｯｯｯｯき…更新頑張ってください！ (2021年4月6日 12時) (レス) id: 655f0d1f1e (このIDを非表示/違反報告)
えびのおすし(プロフ) - えでん.さん» わああああああありがとうございます！！こんな自己満作品ですが、更新頑張ります！！ (2021年2月17日 7時) (レス) id: 898286a51e (このIDを非表示/違反報告)
えでん. - めちゃめちゃ好きです…!!更新頑張って下さい!!!!!!!! (2021年2月17日 1時) (レス) id: 2913ebe5a2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：えびのおすし | 作成日時：2021年2月11日 9時
