花が5輪 ページ6
-ナワーブside-
「Aってさ、頭いいよね」
「…は？Aが？」
Aがそそくさと去っていった後、斜め前に座っていたノートンが食後のコーヒーに砂糖をざばざばと入れながらそう言った。
予想だにしなかった言葉に開いた口が塞がらない俺を放っておいて、ノートンはシュガーポットいっぱいに入っていた砂糖を全て入れ終えてしまった。
…Aの頭が良い？
いつもへらへらと笑ってる彼奴が？
…いや、Aに限ってそんなことは無いだろう。
「何処がだよ。あんなへらへらした奴。」
「だってA、チェス滅茶苦茶強いよ」
「ゲームが好きなだけなんじゃねぇの？何を今更…」
「違うよ。僕もすぐに負けたし、ルカだって手を焼いたって言ってた」
ぶふ、と熱いままのコーヒーを吹き出した。
「……ルカが？」
ノートンはみっともなくコーヒーを吹いた俺を見てふっ、と鼻で笑いながら頷き、甘ったるいコーヒーを傾けた。
見た目は砂糖のせいでどろどろしていて、とても人間が飲めるものでは無さそうだが当のノートンは満足げなのでそこには触れないでおく。
手を抜いただけじゃないのか？、という呟きは喉に残ったコーヒーによって阻まれ、自棄でカップに残っていた苦いコーヒーを飲み干して、ノートンを睨む。
「それじゃあ、ただチェスが強いだけじゃねぇか。」
「まぁそうなんだけどね。」
意外にもあっさり認めた後、突然柄にもなく表情を崩してにや、と笑ったノートンがいつの間にか空になったカップを机に置く。
「＿＿もし、Aが本当はすごく頭が良くて、何かの為に僕らに嘘を吐いていたら？」
……、そんな訳。
Aのそんな姿、想像できない。
「＿＿なんて。冗談だよ。」
さっきまでの表情は何処へやら、ノートンは無表情のままべ、と舌を出して自身のかさついた唇を舐めた。
「お前悪趣味だな…。」
「冗談だってば。」
ノートンの悪趣味さに肩を竦めると、もう一度ふ、と鼻で笑われた。
「…ああ、でもさ。」
イラッとして席を立とうとすると、ノートンがまた口を開いた。
「あ？」
「僕は今のAが正真正銘、本物だとは思ってないよ」
まぁ君には分からないか、と呟いてキッチンにカップを返しに行ってしまったノートンの背中を呆然と眺めて、最後に馬鹿にされたと気付くのはそれから小一時間後だった。
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こなつ(プロフ) - うう！面白すぎます…！！更新待ってます！！！素敵な作品ありがとうございます(>_<) (2022年8月20日 17時) (
レス) @page12 id: 69f5122ea8 (このIDを非表示/違反報告)
ぬん - すきです………… (2021年4月25日 1時) (レス) id: 8f4dafaac9 (このIDを非表示/違反報告)
No.3(プロフ) - え……すｯｯｯｯき…更新頑張ってください！ (2021年4月6日 12時) (レス) id: 655f0d1f1e (このIDを非表示/違反報告)
えびのおすし(プロフ) - えでん.さん» わああああああありがとうございます！！こんな自己満作品ですが、更新頑張ります！！ (2021年2月17日 7時) (レス) id: 898286a51e (このIDを非表示/違反報告)
えでん. - めちゃめちゃ好きです…!!更新頑張って下さい!!!!!!!! (2021年2月17日 1時) (レス) id: 2913ebe5a2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：えびのおすし | 作成日時：2021年2月11日 9時
