花が12輪 ページ13
-ノートンside-
恋というものは病気に近いと思う。
自分の意思とは無関係に発症して、尚且つ治りづらい。
手頃に掛かりやすく、タチの悪い病。
残念なことに僕も病人だ。
だから僕がAに一目惚れしたという事実には特別、大したドラマはない。
ただ、好き。そんな感情だけが胸の中を渦巻いている。
例えAが男だろうが女だろうが関係ない。
欲しいと思ったものは手に入れないと気が済まない質なのだ。
＿＿しかし、Aが女だったのは嬉しい誤算だった。
「A、どうしたの？」
色鮮やかな花が咲いている中庭。
植え込みの花に埋もれるようにしゃがんでいる、泣き腫らした目をしたAが此方を見た。
「キャンベル、さん…」
「そんなに泣いたら目赤くなるよ」
もう赤いか、なんて言いながら懐から出したハンカチを目に押し当てるとAは破顔した。
嗚咽を漏らしながら、ぼろぼろと涙を溢すAを見ると、何だかきまりが悪いような気がして背中を擦った。
「…大丈夫？」
「だい、じょぶ…です、すみま…せん、」
やがてAは落ち着いたのか小さく鼻を啜ると溜め息を吐いた。
「別に謝る必要なんて無いよ。」
Aの隣に腰を降ろし、同じく植え込みに埋もれる。
「……、ありがとう、ございます…」
薄紅色の花と柔らかい葉に隠されて表情は見えないが、僕はどうしてか安心したような気がした。
「…ところでさ、A。ドーナツは好き？」
「…ドーナツ？」
「あれ、知らない？お菓子なんだけど」
「……、聞いたことは、あるんですけど…」
「じゃあ、一緒に食べよう？」
＿＿ああ、僕はなんて嫌な奴なんだろう。
…ここまでしてでもAをナワーブに渡したくないだなんて。
……遠くでナワーブがこの様子を見ていることも知っていたのに。
続く (更新停止中)
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こなつ(プロフ) - うう！面白すぎます…！！更新待ってます！！！素敵な作品ありがとうございます(>_<) (2022年8月20日 17時) (
レス) @page12 id: 69f5122ea8 (このIDを非表示/違反報告)
ぬん - すきです………… (2021年4月25日 1時) (レス) id: 8f4dafaac9 (このIDを非表示/違反報告)
No.3(プロフ) - え……すｯｯｯｯき…更新頑張ってください！ (2021年4月6日 12時) (レス) id: 655f0d1f1e (このIDを非表示/違反報告)
えびのおすし(プロフ) - えでん.さん» わああああああありがとうございます！！こんな自己満作品ですが、更新頑張ります！！ (2021年2月17日 7時) (レス) id: 898286a51e (このIDを非表示/違反報告)
えでん. - めちゃめちゃ好きです…!!更新頑張って下さい!!!!!!!! (2021年2月17日 1時) (レス) id: 2913ebe5a2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：えびのおすし | 作成日時：2021年2月11日 9時
