花が11輪 ページ12
朝飯の匂いを肺いっぱいに吸い込んで大きく深呼吸する。
昨晩は色々なことが頭をよぎってしまい、よく眠れなかった。
腹立ち紛れにドアをノックするが開く気配はない。
ドアを開けると、案の定スヤスヤ寝てるAがいた。
「おい、A起きろ」
…返答はない。
…仕方がない。強行手段だ。
本棚の本を数冊取り、頭の上で手を離す。
ごすっと鈍い音が響き、呻き声を上げながらAは目を覚ました。
思わず込み上げてくる爆笑を噛み殺しながらひらひらと手を振る。
「よう、寝坊助。」
「…サベダーさん………」
思わず笑ってしまうとAはみしり、と眉に皺を刻んだ。
「朝飯出来たってよ。食いっぱぐれるぞ！」
…その時の俺は、かなり無神経だったのだ。
「ま、待って！自分で着替えられるので！」
「何言って＿＿＿」
ボタンを外した途端、思わず動きが止まった。
＿＿前々から、うっすらおかしいとは思っていた。
男にしては華奢な身体に細い腕、整った指先。
…こんな形で今更気付くなんて、俺は大馬鹿者だ。
「＿＿、お前、…」
＿＿＿女なのか？なんて。
何を今更。
無神経過ぎる、最低だ。
そんな自責の念が頭の中を渦巻いても、走り去るAを眺めることしか出来なかった。
「ナワーブ、Aに何したの？」
いつの間にか背後から微かな靴音を立てて現れたノートンが首を傾げていた。
「うわ、酷い顔」
「……うるせぇよ」
なんて空気を読まない奴なんだ、と正直言って怒りすら覚えたが、ゆらりとノートンが近寄ってきてその言葉を飲み込んだ。
「だから言ったじゃん。Aは嘘を吐いてるかもって。」
知ったような口ぶりに突っ掛かりを覚えた。
「…あ？じゃあお前は分かってたのかよ」
「いや？」
「何だよ…」
あまりにもさらっと言われ拍子抜けする。
「それに、夜、おかしいと思わなかった？」
「は？」
いや、夜は誰も起きていなかった筈だ。
それに、確かノートンはAの隣の部屋だったが部屋から出てくる気配はなかった。
「何でお前が、それを知って…」
「だって僕の部屋隣だし銃声が聞こえたら目も覚めるでしょ」
「じゃあ何でその時出てこなかったんだよ」
「撃たれたら怖いし」
他に質問は？、と肩を竦めるノートン。
「何が言いたいんだよ」
「別に？ああ、そうだ。」
流石に苛立ちが募り、眉を寄せるとノートンは気だるげに、でも鋭く俺を見た。
「僕に都合のいい状況を作ってくれてありがとう。」
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こなつ(プロフ) - うう！面白すぎます…！！更新待ってます！！！素敵な作品ありがとうございます(>_<) (2022年8月20日 17時) (
レス) @page12 id: 69f5122ea8 (このIDを非表示/違反報告)
ぬん - すきです………… (2021年4月25日 1時) (レス) id: 8f4dafaac9 (このIDを非表示/違反報告)
No.3(プロフ) - え……すｯｯｯｯき…更新頑張ってください！ (2021年4月6日 12時) (レス) id: 655f0d1f1e (このIDを非表示/違反報告)
えびのおすし(プロフ) - えでん.さん» わああああああありがとうございます！！こんな自己満作品ですが、更新頑張ります！！ (2021年2月17日 7時) (レス) id: 898286a51e (このIDを非表示/違反報告)
えでん. - めちゃめちゃ好きです…!!更新頑張って下さい!!!!!!!! (2021年2月17日 1時) (レス) id: 2913ebe5a2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：えびのおすし | 作成日時：2021年2月11日 9時
