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空き部屋 ページ3

腰掛けたベッドがギシギシと音を立てて軋む。これに身を預けるのは少しばかり心配だけれど、柔らかい布の感触は自分の慣れたものだった。
ヘキサグリアの空き部屋に余っていたらしい家具を運び込んで、今に至るのですよ。

シェリーは一体、どうすれば・・・。何も言わずにお里を離れてしまったし・・・。

「でも・・・これでいいのかもしれませんね〜・・・」
天井を仰ぎ、目を閉じる。
風が、城内の色々な音や香りを運んでくるのに心を澄ませた。
城の奥で何かを言っている。

―鎖は・・・消えていないな。

―アスカ?まだいるんでしょ?

―ふむ、鎖が光っておる・・・どうやらあの娘は違うようじゃな。

「・・・?」
アスカとは一体・・・?
四人の名前を順繰りに頭に浮かべる。
リリィ。マティウス・アクアディア。アーノルド・クロウガイア。デボラ・イグニスパダ。
アスカという名の人物はいないはず。
そもそも、四人で何かしているのだからその四人がアスカであるはずがないのですよ。

「鎖・・・」
城の奥で何やら言い合う声の中に、その単語が多く聞こえた。
鎖、と言うと・・・?だけど、肝心のその人の声が聞こえない。シェリーの力なら、どんなに遠くとも小さくとも、どこに対象物があるかさえ分かれば全ての音を聞くことができるはずなのですよ。

音は諦め、香りに集中する。
近くから、数年前に残った微かな香りが。
「うーん・・・?何なのでしょうかね〜?・・・温かいような・・・でも確かに冷たく・・・」
どうやら香りは隣の部屋からするらしい。
確か、数年間使われていない空き部屋だとか・・・。一応家具は置いてあるらしいけれど、動かしたくないとかで・・・。
爽やかで、且つ優しい、冷たく温かな香りに混じり何かの焦げたような臭いも微かに存在していた。

「うーん・・・考えても分かるものじゃないみたいですね〜。・・・人が住んでいたのに間違いはなさそうなのですけどね〜」
シェリーはそれ以上考えるのをやめた。
仰向けにベッドに倒れ込む。巨体に押し潰されそうに木の乾いた音を響かせるも、シェリーは動じない。

シェリーはね、考えるのが苦手なのですよ。何かを深く考えるのが。
多分、そんなだからこうなってしまったのでしょうけれどね。仕方ないのですよ。シェリーはシェリーの気の向くままに自分の進みやすい方へと十七まで生きてきたのですから。

大欠伸をひとつ。そのまま、どこかに隠し持っていたスナック菓子の袋を開け中身を貪り始めた。

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- オリジナルフラグちゃんと外しましょう。違反行為です (2018年8月18日 23時) (レス) id: 7369816925 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:いけちゃん | 作成日時:2018年8月18日 23時

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