【if】怪物 ページ10
※もしもメラがグリンデルバルドに拾われていたらの話。
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「スクイブの少女。
皆と同じになりたかったか?
だが、その姿は決して「まとも」とは言えない。
愛されたかったか?
当然だ。それが人間の正しい要求だ。でも、君は人間でも無くなった。
英国では君の葬儀があったよ。新聞にも載っていた。馬鹿なスクイブの末路が面白可笑しく。君はご両親に愛される所か、世界にも愛されなかった!
嗚呼泣くな。10歳の子供でも解ることだろう?解っていて運命を選んだ。いや、責めている訳では無い。私はむしろ称賛すらしている。
多くの惨めなスクイブの中、お前は産まれもった時に決まった全てを自分で踏み潰した。特別な存在になった!」
だからこそ這い上がりたくはないか。
この最低で最悪で劣悪な運命から。
檻の外に白髪の男。端正な美貌に狂気の欠片を貼り付け、違う色の眼を三日月にして笑っている。
泥と鉄錆の匂いに混じってムスクが香る。哀れんでいるような声色で紡がれる言葉に頭がくらくらした。
パパもママも来てくれないのなら。もう愛される見込みが無いのなら。何になっても私を認めてくれないのなら。
「私は。
どうしたら私は、幸せになれるの」
すがるように目の前の男に答えを乞うた。彼の言葉に決して温もりが無いことを知っていたけれど、言って欲しい言葉を口にしてくれる気がしていた。
まるで悪魔の甘美な囁きみたいに。
「もしも愛される事が幸せだと言うなら、私は君を愛してやれる。少なくともこの冷たい檻から出して、その冷えた体を抱きしめてやれる。
特別である事が幸せならば、支配する側に加えてあげよう。揺らがない地位を約束しよう。魔法使いが頂点に立つ世界の中で、君だけを特別に。
全て私のこの手を取ればの話だが」
恭しげに差し出された彼の手を取る。迷いはなかった。救われたかった。それだけで。
「なまえを、教えて」
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「ーーーーー
ふと。白昼夢のような記憶から意識を引き戻し、コツコツと隣を歩く長身の男に問い掛けた。
黒髪を後ろに撫で付けた壮年の男の「姿をした」主人は胡乱げな顔をして、僅かに口元を歪める。
「本来のグレイブスならそんな事はしないだろうな。だが、これだけ罪状を揃えてやれば反対の声をあげる者も居ない。
ただ一人ーーーあの女の妹を除いて」
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みかこ(プロフ) - アバンギャルド・マボさん» 神から神託を頂いた……だと……?ちょっと間あけてツク開いたら神のお言葉頂いてて平伏しました。やべぇ(語彙力消失)自分が逆立ちしても思いつかなかったアイデアで脳ミソが革命起こしてますどうしよう。絵なり文なり何かしらで形にしたいです好きです(一息) (2019年11月12日 20時) (レス) id: 3d953e5ca0 (このIDを非表示/違反報告)
アバンギャルド・マボ(プロフ) - (絵本にもなっていて、優しい絵柄で読み聞かせのたびに親の涙腺を殺してくる感じの話だったり…。ニュート自身が彼女の恋心に気がついていたかは別として、朴訥と見たままに書いているので、読む人には「ああ…」ってわかっちゃうアレです。(狼王のロボポジ) (2019年11月7日 19時) (レス) id: b4015b5421 (このIDを非表示/違反報告)
アバンギャルド・マボ(プロフ) - 完全に妄想なのですが、ニュートスキャマンダーが唯一書いた児童文学に、「Dragon girl」があったりしたら…と思っちゃったりしてます。 (2019年11月7日 18時) (レス) id: b4015b5421 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みかこ | 作成日時:2019年10月26日 10時