それは終わりで始まり ページ4
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純白の絨毯が土の上に敷かれ、息を吐けば白いもやが溢れる英国の冬。黒々と靴底の模様を付けられた新雪の真ん中で、子供達はホグワーツへの憧れを語っていた。
そんな楽しげに湧く円の横を早足で駆け、なるべく話題に巻き込まれない様に走り去ろうとした少女が一人。
長いチョコレート色の髪を駆使して顔を隠し、足音も殺して過ぎ去ろうとしていた彼女は、円の中から行く手を阻んだ影に、びくりと身体を震わせて止まる。
影の主である大柄な少年が、にんまりと意地悪げな笑みを彼女に向けた。
「丁度良かったメラ、今ホグワーツの話をしてたんだ」
「……そう。それは良かったわね。私急いでるの、それじゃ」
「つれないこと言うなよ、俺らの中じゃ熱い話題なんだぜ。ああそうだ、学校に行けないスクイブはどうするのかも気になる。ずっとお休みか?」
少年の問い掛けで周りが笑う。ああ最悪だ、お使いから帰ってきただけなのに。嘲笑の中でメラはぐっと歯を食いしばり、余裕に見えるように笑みを作ってみせた。
「スクイブだって決まった訳じゃないわ。遅咲きの魔法使いだって居るって聞いたこと有るもの。
それにもしスクイブでもそれが不幸とは限らないわ。一生魔法を使えなくてもマグルは幸せに生活してるじゃない」
だから平気よと意地をはった瞬間、メラの手にもっていた買い物袋が宙に浮く。意思を持つ生き物のようにゆらゆらと頭上に上がっていく。
必死に手を伸ばし、メラがいくら跳ねても、小さな手はそれを掴めない。
「返して!それは頼まれものなの!」
「マグルが魔法使いの店でおつかいなんて可笑しいだろ?だから僕が取り返してあげたんじゃないか。何で怒るんだ?」
「違う!私はマグルじゃない!魔法を使えなかったとしても、マグルみたいに幸せには成れるわって言っただけじゃない!」
「同じ事さ……ほら!」
少年が笑いながら手を降ると、勢いよく買い物袋は地面に叩きつけられる。中のものが散らばって足跡だらけの雪に埋まる。
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みかこ(プロフ) - アバンギャルド・マボさん» 神から神託を頂いた……だと……?ちょっと間あけてツク開いたら神のお言葉頂いてて平伏しました。やべぇ(語彙力消失)自分が逆立ちしても思いつかなかったアイデアで脳ミソが革命起こしてますどうしよう。絵なり文なり何かしらで形にしたいです好きです(一息) (2019年11月12日 20時) (レス) id: 3d953e5ca0 (このIDを非表示/違反報告)
アバンギャルド・マボ(プロフ) - (絵本にもなっていて、優しい絵柄で読み聞かせのたびに親の涙腺を殺してくる感じの話だったり…。ニュート自身が彼女の恋心に気がついていたかは別として、朴訥と見たままに書いているので、読む人には「ああ…」ってわかっちゃうアレです。(狼王のロボポジ) (2019年11月7日 19時) (レス) id: b4015b5421 (このIDを非表示/違反報告)
アバンギャルド・マボ(プロフ) - 完全に妄想なのですが、ニュートスキャマンダーが唯一書いた児童文学に、「Dragon girl」があったりしたら…と思っちゃったりしてます。 (2019年11月7日 18時) (レス) id: b4015b5421 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みかこ | 作成日時:2019年10月26日 10時