ニュートと迷い ページ9
「……もうどうしたら良いのか分からないの」
考えれば考えるほど、自分の勝手さだけが浮き彫りになってくる。
グレイブスに現実を突き付けられた事に苛立ち、その現実に苛立ち、ニュートに嫌な態度をとった自分に苛立ち、あまつさえティナに嫉妬して！
投げやりに鳩小屋へと目をやったメラに、ジェイコブは人の良い目尻を下げて肩をすくめる。
「俺は魔法使いの事とか、メラとニュートの事情とか、聞いた程度しか知らないけどさ。こういうギクシャクが時間が立つほど気まずくなるのは確かだろ？
素直に思ってる事言ってみたら、案外単純なすれ違いだったとかよくあるよ」
俺の場合はね、と改めて注釈を入れる彼は、魔法界と自分の生きていた世界がどこまで違うのかを図りかねて居るらしい。別に何も違わない。けれど、
「──
「そうだな……君は素直とは真逆だよな」
ニュートがちらりとこちらを向いた瞬間、あからさまに顔を背けたメラを困ったように見て、ジェイコブが半ば苦笑して言った。
「……私多分、自分が可愛いの。昔から、ドラゴンになる前からきっとずっと、自分ばっかり守ってる」
結局ね、と呟いた少女は、考えすぎて逆に思考を止めていた。要は「ニュートと離れたくない」という欲望を殺しきれて居ないだけなのだと言うことだけは見えていた。
──あれだけグレイブスのオフィスで絶望した癖に、ほんとに言い訳ばかり！
メラは飽き飽きして嘆息し、話を切り上げるように「心配してくれてありがとう」とジェイコブに礼を言った。
浮かない表情のままの彼女に、彼は重ねてかける言葉を探した。───次の瞬間、唐突に上がったティナの声で、二人して飛び上がった訳だが。
「──ナーラク！」
ティナは興奮した面持ちで、「誰か」の名前を挙げる。さっきまで囁くような会話しかしていなかったニュートは面食らい、上の空だったメラは小さく息を呑んだ。
───その名前、どこかで。
「ナーラクよ──私が闇祓いだったときに使ってた情報屋！
副業で魔法動物の売買もやってたわ」
ティナの最後の一言で、メラの記憶の一部が弾けた。
──ナーラク、私はきっとその男を知っている。彼は確か背の低いずんぐりとしたゴブリンで、
昔、私が檻に入れられる前に一度出会った。
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とーふ(プロフ) - 心情の変化を細かく描いてくださっているので、場面が変わるごとに私自身も感情が変わってました笑 素敵な作品をありがとうございます。少しずつ関わり方も変わるのかな？と思いながら、更新を心待ちにしております！ (2022年4月10日 0時) (
レス) @page31 id: ab5a3330b3 (このIDを非表示/違反報告)
時々雨(プロフ) - スクイブってマグルにも魔法族にも何にもなれぬとても難しい位置にいるんだと感じました。なかなか進展しなそうな難しい恋ですね、これからどうなるのか楽しみです♪ (2022年1月29日 8時) (レス) @page31 id: 6532c97378 (このIDを非表示/違反報告)
Kaede.0807(プロフ) - めっちゃ好きな作品です!更新楽しみに待ってます!! (2020年11月15日 20時) (レス) id: 3d85b18928 (このIDを非表示/違反報告)
nasiremon - 取引のところで泣きました……夢主の気持ちが心に刺さりました……あとニュートがかっこいい……更新頑張ってください！！ (2020年6月17日 23時) (レス) id: fa0cba8ed9 (このIDを非表示/違反報告)
みかこ(プロフ) - 皆様コメントありがとうございます！私事で更新が間延びしてしまいましたが、これからものんびり更新していく予定です！ニュートと夢主の行く末を何卒これからもよろしくお願いします！！ (2019年10月22日 17時) (レス) id: 3d953e5ca0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みかこ | 作成日時：2019年2月3日 19時
