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魔女とスクイブ ページ23

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逃げ出した動物は皆確保した。
トランクを降りながらメラは一先ず息を吐く。


今日の体力を使えばサンダーバードで地球一周出来ただろうし、何なら自分の飾りみたいな羽でアメリカを横断する試みにもチャレンジできただろう。疲れた。


「マスター、何か甘いもの持ってない?」


ほとんどげっそりしながら、後ろからオカミーの赤ちゃんを抱えて歩いてきた人影に声をかけた。大変不本意だけどーーー彼のポケットにはご機嫌とり用のアメやらチョコやらがよく入っている。


そんな目論見で声をかければひょいと顔の横にビッグ・サイズのヌガーが差し出された。……そんなものまで入れてたの?

軽く呆気にとられて振り返りーーーメラは自分の勘違いに気付く。オカミーを抱えていたのはニュートでは無かった。ふと視界を広げれば、彼はピケットを肩に乗せながら小屋に歩いて行くところで。

ジェイコブでもクイニーでもない。悪戯が成功した子供みたいな顔でヌガーを揺らすのは。


「……人が悪いわティナさん。声かけてくれたら良いのに」

「ちょうどデミガイズの持ってたお菓子があったから」

それにしたって。口を尖らせたメラはそれでも、彼女の手からヌガーを受け取った。


最初は随分と融通の効かない嫌な人だと思ったけれど、慣れてくると案外子供みたいな所のある人だ。いや、マクーザで椅子の下に隠れた時点で知っていたような気はするけども。


「私だって全うな大人とは言えないけど、貴女も相当ね。初対面では口にマスタード付いてたし」

「あら、そんな事言ったらメラさんは思いっきり転んでたけれど?」

「その後の勢い任せの連行で大恥」

「その前にマクーザでニュートに引っ付いて駄々っ子」

お互い重ねるように悪態を吐き合って、しまいにお互い顔を見合わせた。バツの悪そうな視線がかち合って、二人して微妙な苦笑を浮かべる。

メラもティナも黙ってヌガーの端をかじって、オカミーの雛を巣に戻した。


「今更だけど……大体聞いたわ、貴方の事。その鱗や目の色の理由も、ニュートとの出会いも」


沈黙の中、ぽつりと話題を落としたのはティナだった。

ナーラクの件でもはやメラが「ワケアリ」である事は散々に露呈した。けれど、細かな所まで知っているならば、ニュートが彼女に話したという事だろう。

メラは挑戦的な眼差しでティナを見上げた。口元に少し意地悪な笑みを浮かべて。


「じゃあ私を逮捕する?
闇祓いさん。」

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とーふ(プロフ) - 心情の変化を細かく描いてくださっているので、場面が変わるごとに私自身も感情が変わってました笑 素敵な作品をありがとうございます。少しずつ関わり方も変わるのかな?と思いながら、更新を心待ちにしております! (2022年4月10日 0時) (レス) @page31 id: ab5a3330b3 (このIDを非表示/違反報告)
時々雨(プロフ) - スクイブってマグルにも魔法族にも何にもなれぬとても難しい位置にいるんだと感じました。なかなか進展しなそうな難しい恋ですね、これからどうなるのか楽しみです♪ (2022年1月29日 8時) (レス) @page31 id: 6532c97378 (このIDを非表示/違反報告)
Kaede.0807(プロフ) - めっちゃ好きな作品です!更新楽しみに待ってます!! (2020年11月15日 20時) (レス) id: 3d85b18928 (このIDを非表示/違反報告)
nasiremon - 取引のところで泣きました……夢主の気持ちが心に刺さりました……あとニュートがかっこいい……更新頑張ってください!! (2020年6月17日 23時) (レス) id: fa0cba8ed9 (このIDを非表示/違反報告)
みかこ(プロフ) - 皆様コメントありがとうございます!私事で更新が間延びしてしまいましたが、これからものんびり更新していく予定です!ニュートと夢主の行く末を何卒これからもよろしくお願いします!! (2019年10月22日 17時) (レス) id: 3d953e5ca0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:みかこ | 作成日時:2019年2月3日 19時

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