ナーラクと決断 ページ11
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錆びた鉄の匂い、廃棄物の腐臭。肌に感じる空気すらざらつく裏路地の奥。稚拙なタッチで描かれたドレスの女のポスターが、不自然に鮮やかな色彩で貼られていた。
ティナとクイニーは慣れた手付きで杖を一振りし、普段着のコートからセクシーなフラッパードレスに衣装を変える。
淡いセピアとクラシカルピンク。シックな色味で統一されたそれは、彼女らの白い肌を惜しげも無く晒した。
照れて恥ずかしげなティナの視線の先がニュートだと気付いて、メラは僅かにムッとする。
いっそニュートを肘で小突いてしまいたかったが、今彼との間に流れる微妙な空気がそれを許さなかった。──いや、もしそれが無くても、「ナーラク」がメラの思う男であれば、そんな気分にもなれない。
世間は狭いとは言うけれど、これほど昔の事をほじくり返される事が今まであっただろうか！
NYに来てから何かが狂って来ている気がする。まるで荒波みたいな運命の流れに引きずり込まれているような──平行を辿って居た全てが波打って壊れそうな、そんな感覚が恐ろしかった。
思わずニュートの服の袖を掴みかけたメラは、それも寸でで思い留まる。──自覚している。これは不安になった時、彼が居ると確かめたくなった時の癖。
おずおずと宙で手をさ迷わせたと同時、ニュートの心配そうな視線が降り注ぐのを感じたが、気付かないふりをした。振り切るようにクイニーの方を見て、焦げた自分の服を摘まむ。
「ねぇクイニーさん、この店ドレスコードがあるみたいね。私はどうしたら良いかしら」
「ンーそうね。私達のは少し違うかしら。メラさんは小柄だから」
彼女は真剣な思案顔で、くるりと杖を回して見せた。マドンナブルーのワンピースドレス。鱗に似たスパンコールが散りばめられたそれは、いっそメラの人らしからぬ部分を強調する。
それだけに「変な見た目の子供」でしかなかった少女の姿は、どこか神秘的な風合いを帯びていた。
「あら、いいじゃない」
「でしょう、ティナ──あ、どうかしらスキャマンダーさん？」
唐突に話を振られたニュートは、困惑したようにメラを見る。良いね、と脊髄反射で返した彼は、少しの間の後……しどろもどろに「服はあまり分からないけど」と付け足した。
その場に呆れた空気が落ちるけれど、メラはいつものように怒らない。普段通りに持ち直すきっかけを目論んだクイニーは、当てが外れたように肩を落とした。
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とーふ(プロフ) - 心情の変化を細かく描いてくださっているので、場面が変わるごとに私自身も感情が変わってました笑 素敵な作品をありがとうございます。少しずつ関わり方も変わるのかな？と思いながら、更新を心待ちにしております！ (2022年4月10日 0時) (
レス) @page31 id: ab5a3330b3 (このIDを非表示/違反報告)
時々雨(プロフ) - スクイブってマグルにも魔法族にも何にもなれぬとても難しい位置にいるんだと感じました。なかなか進展しなそうな難しい恋ですね、これからどうなるのか楽しみです♪ (2022年1月29日 8時) (レス) @page31 id: 6532c97378 (このIDを非表示/違反報告)
Kaede.0807(プロフ) - めっちゃ好きな作品です!更新楽しみに待ってます!! (2020年11月15日 20時) (レス) id: 3d85b18928 (このIDを非表示/違反報告)
nasiremon - 取引のところで泣きました……夢主の気持ちが心に刺さりました……あとニュートがかっこいい……更新頑張ってください！！ (2020年6月17日 23時) (レス) id: fa0cba8ed9 (このIDを非表示/違反報告)
みかこ(プロフ) - 皆様コメントありがとうございます！私事で更新が間延びしてしまいましたが、これからものんびり更新していく予定です！ニュートと夢主の行く末を何卒これからもよろしくお願いします！！ (2019年10月22日 17時) (レス) id: 3d953e5ca0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みかこ | 作成日時：2019年2月3日 19時
