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ティナと逮捕 ページ15

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「───ミス・ゴールドスタイン、あなたの立場ははっきりさせたはずですよ」


シルバーブロンドの髪をターバンで纏め、威厳に溢れた面立ちを怒りに歪めた美女は言い放つ。ティナはそこで始めて恐れを滲ませ、余裕を無くした声でしどろもどろの弁解をした。


あくまで事務的、かつ冷酷にニュートとメラをマクーザに引き入れるまでの彼女は強かった。


有無を言わさず立派すぎる扉の前に引っ張り出された時は、二人して緊張で体を強張らせた位だ。なのにどうにも、


「……犯人としても歓迎されてなさそうね……?」
「……みたいだね……?」


世界の戦争の話をしていた場所に子供のケンカの話題を持ち込んだような。何だか場違いな感じが否めない。


身内の筈のティナに強制退出の命が下ってしまえば、二人の立場なんて何処にもなかった。


悔しそうに、そして羞恥に顔を歪めて踵を返したティナに付いていくより他は無く、一歩先を歩いたニュートを追ってメラも体の向きを変える。


そしてふと、会議に出ていたであろう一人の男と目が会った。


端整な顔立ちのまま年を重ねたのが見てとれる、スマートな中年男性。後ろに撫で付けた髪と落ち着いた表情は、理知的で理性的だ。


───なのに、何故か彼の眼差しは悪寒がする。好きじゃない!


ぶるりと震えたメラに、ニュートが「寒いの?」と心配そうに問う。気温の問題じゃない。けれど、この感覚を彼女は上手く説明出来なかった。


「──何でもないわ」





◆◇◆







「アメリカ魔法界の統括」を体現したようなきらびやかな基地から、くたびれたオフィスへ。ティナが次に二人を連れて来たのは、狭苦しい地下のポツンとした課だった。


「──魔法の杖の許可局?」


「ええお嬢ちゃん、それが何か?」


「何って……別に深い意味は無いわ。ただ、私の実家が杖関係の店だったから、こんな感じの部署の人がたまに来てたなって。杖の中身の認可とかなんとかで」


「あら、じゃあスキャマンダーさん、杖の中身を取り扱ってる人なの?」


ティナはニュートに向かって訝しげに問う。おどおどとした顔付きのわりに、日に焼けた肌、がっしりとした体つき。


外仕事(アウトドア)を主とする人間の体の特徴を見回し、「そうは見えないけど」と言外に含ませて。

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みかこ(プロフ) - るとさん!読んでくれてありがとう(涙)やっちゃった……こう言うのは勢いだよね((ジェイコブさん良いよね!めっちゃええ人……(尊い)むらむら更新だと思うけどのんびり頑張るね(゜∇^d)本当にありがとう! (2018年12月19日 8時) (レス) id: 243d49e4e1 (このIDを非表示/違反報告)
木兎宮ると(プロフ) - おお!ついに公開したのだねっ!!(歓喜)ニュートも好きだけど、ジェイコブさんが本当に好き(尊い)ので沢山出しておくれ…(願望)無理せずに更新頑張ってd( ̄  ̄) (2018年12月18日 19時) (レス) id: 68f0c4b0f7 (このIDを非表示/違反報告)
みかこ(プロフ) - 衛さん» わああ衛さんまで駆け付けてくださって……感謝の言葉が見つかりません嬉しいです(つД`)ジェイコブさんも大好きなので絡ませて行きたい……ゆるっと頑張りたいと思っておりますので気力続く限りお付き合い頂ければ幸いです(涙) (2018年12月17日 0時) (レス) id: 243d49e4e1 (このIDを非表示/違反報告)
みかこ(プロフ) - アイカ@低浮上さん» イメログからありがとうございます!何だか絵だけじゃ物足りない気がし始めてしまって……あれよあれよと勢いで公開してしまいました汗お褒めの言葉までありがとうございます!精進します( ;∀;) (2018年12月17日 0時) (レス) id: 243d49e4e1 (このIDを非表示/違反報告)
みかこ(プロフ) - アバンギャルド・マボさん» マボ様に読んで頂けたなんて幸いです(涙)そして恐縮でございます汗応援ありがとうございます!自分なりに頑張ります( ´∀`) (2018年12月17日 0時) (レス) id: 243d49e4e1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:みかこ | 作成日時:2018年12月16日 20時

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