20と7つ目の約束〜過去〜 ページ35
no side
口を揃えて言った両親に、男は軽いため息をひとつ。
少女は何を思うのか……否、何も思わないからか表情をピクリとも動かさなかった。
男は少女の手を優しく取り、"こっちへおいで?"と手を引いた。
扉の中へ消え去る前に、男は2人に向かってこう言う。
"これからの人生、気をつけて過ごしなね"
酷く冷たく、鋭い口調で告げ、後ろ手で扉を閉めた。
真っ暗になったその道は寒くもなく、少女にとっては少し暖かかった。
"行こう"
そう言われて少し歩いて進んでいくと、道の端に光が着き始め次第に明るさが出てきた。
そして、その光を眺めながらその男の声を聞こうとしたその時、少女はその場に倒れてしまった。
男は驚きつつも少女を軽々と持ち上げ、そのまま暗い道を進んでいった。
少女と男が向かうのは蠑池。
とある一部屋に少女を寝かせ、コウラと呼ばれた女と、三権神という総称を持つ男3人が集められた。
祓い師の男、もとい黒猫アオイは、その子の生い立ちを話し、少女が雪女の先祖返りである可能性を話した。
その場にいた4人は、話を聞き漏らさずしっかりと聞き、その少女を隠世にて面倒を見ることを決意する。
そして少しして目を覚ました少女は、恐怖からか動けなくなり、また声も出なくなってしまった。
困った5人はどうしようか悩んでいると、少女はアオイの存在を見つけた。
"あ……!この前の猫さん…っ"
少女はこっちに来て欲しいと言わんばかりにアオイに手を伸ばす。
アオイはそれを見て少女に近づき、こう1つ問う。
"君の名前は??"
少女は猫が話した驚きで、あたりが見えなくなったのか、知らない者がいるにも関わらず話し始めた。
『わたしのなまえはAだよ』
恐怖心の残っていないその声に不安に思ったアオイは、あえてわざとこの質問をした。
"……どこから、来たんだい?"
この問いに少し考える素振りを見せると、くしゃりと少女の顔が歪む。
やはり聞くべきではなかったか、そう思い、話題を変えようと口を開きかけたその時、少女がポツリとこう言った。
『ごめんなさい、わすれちゃった』
悲しそうに、辛そうに、そして恐怖の表情をした少女に周りは驚いた。
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カスミソウ(プロフ) - EMIKOさん» はーい!!待ってますね!!ゆっくりで大丈夫なので、えみこさんがかける時にお願いしますっ!気にしてないので平気ですよ〜こちらこそ申し訳ないです… (2019年4月2日 0時) (レス) id: 9ef8fa1231 (このIDを非表示/違反報告)
EMIKO(プロフ) - わかりました!!出来上がり次第送ります!!夜分遅くすみません、、、 (2019年4月2日 0時) (レス) id: 04697b5525 (このIDを非表示/違反報告)
カスミソウ(プロフ) - EMIKOさん» お!良かった!!では、『@4qaMsFoB8NitHrn 』にお願いしますっ!! (2019年4月2日 0時) (レス) id: 9ef8fa1231 (このIDを非表示/違反報告)
EMIKO(プロフ) - やってます!!もちろんです!!自分も仲良くしてください!! (2019年4月2日 0時) (レス) id: 04697b5525 (このIDを非表示/違反報告)
カスミソウ(プロフ) - EMIKOさん» 送る場所……ううむ……Twitterとかやっていますか…?もしやっていればアカを教えるのでそちらに送っていただきたいです……!!(あわよくば仲良くしてください…っ) (2019年4月2日 0時) (レス) id: 9ef8fa1231 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:瑠璃唐綿 | 作成日時:2019年2月8日 10時