2.危機感 ページ4
ガチャりと開くドアに私はなんとも言えない焦りが芽ばえる。
やばい、やってしまった。
いつもはこの時間にはもう家を出ていたのだが何せ寝過ごしてしまった為に時間が押して……
ドアの先からは身長の高い弟が立っていた。
「うっわ、姉さんまだ居たの?」
『あ……うん、そろそろ出るところ』
「ふーん、あっそ」
私に興味が内容に少ない会話を済ませると、視界にすら入っていないのか私に構わず朝ごはんを食べ始めた。
お母さんじゃなくてよかった。
早く出なきゃ。
そう思い、急いで支度をして家を出た。
会社へ向かう道のりも、時間がズレていることから通勤ラッシュにぶち当たりめちゃくちゃ混んでいる。
『さ、最悪だ……』
人に負けないよう電車に乗りこみ目的の駅まで息をひそめる。
私の会社は至って普通なIT企業。
強いて言うなら少しブラックなのかな、くらい。
会社へ着くといつも通り、自分のデスクで今日割り振られた仕事をこなしていく。
「佐原ちゃん」
『……』
「さーはーらーちゃん!!」
『っっ!?!?あっすみません!!!なんでしょうか!!』
「全く、ちゃんとしてくれよ。今日の仕事だけど___」
名字なんていつも呼ばれているはずなのに、ふとした瞬間自分の名字がわからなくなる時がある。
分からないというよりかは、私に名字があったのか。そんな感覚。
長いこと呼ばれてなかったからかな……
……???あれ???呼ばれてなかった?そんなことは無いはず……だって毎日会社で……
あれ????
その時ふと頭をよぎる数人の顔。
どこかで見たことがあるような懐かしい人。
みんなに下の名前で呼ばれる感覚。
--ルリ…お前はオレ様達のこと、忘れちゃったのか…?--
あなた達はだれ……??
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危機感(キキカン)
このままでは危ないという感じ。不安な感じ。危機意識。
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瑠璃唐綿-ルリトウワタ-(プロフ) - 苑歌さん» 返信出来てなくて申し訳ないです!!コメントも応援もありがとうご ざいます!少しずつですが進めていきますので、ラストまで見ていただけると嬉しいです……! (2020年9月2日 19時) (レス) id: 9ef8fa1231 (このIDを非表示/違反報告)
苑歌(プロフ) - 面白いです!少しうるっときました。応援しています! (2020年7月14日 2時) (レス) id: b9c45128c7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:瑠璃唐綿 | 作成日時:2020年6月13日 3時