月刊 HELLO 【特別号】 (ページ3)

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10の恋文ページ3

【10の恋文(やくそく)】

著者：月夜の死神

彼氏が亡くなって一週間

いい加減けじめをつけなきゃと思って彼の部屋に来た

彼が居なくなってしまった時となにも変わらない

彼の匂いが漂う部屋

一歩踏み出せば涙が一筋流れた

溢れ出る涙を無視して部屋の中を見わたす

彼の使っていた机を見ると何時もより片付いている

そして封筒が１つそこにはあった

『夏美へ』

そう書いてあるのを見た途端

私は手紙に飛び付いた

恐る恐る慎重に封を切り

手紙を開く

『夏美へ

これをお前が読んでるってことは

俺は、お前との約束守れなかったみたいだな。

最低、だよな。

ずっと側にいるなんてカッコつけといて

いざという時にお前の側に居てやれない

本当に最低な彼氏だな…

なぁ、夏美。

こんな最低な俺からの最初で最後のお願い

お前は聞き入れてくれるか？

聞き入れたくないなら2枚目の手紙は

破るなり燃やすなり好きにしてくれ

愛してる

冬真』

大好きな彼の字

『愛してる』

たった一言でも

文面だろうと

とてつもなく嬉しかった

彼は私の事を一番に考えてくれていたから

「私も、愛してるよ」

そう零し私は2枚目を開いた

『約束1 泣くな、笑え
お前には涙より笑顔の方が似合ってる

約束2 好き嫌いすんなよ
お前俺がいないとすぐに野菜食わなくなるだろ

約束3 ちゃんと掃除しろよ
いっつも俺が掃除してんだかんな

約束4 いつまでも引きずんな
新しい恋、始めてくれ

約束5 墓参りにはちゃんと来い
義母さんの墓参りもろくに行ってなかったろ

約束6 俺のことを忘れないでくれ
死人(おれ)はもうお前の心の中でしか生きられないんだ

約束7 本音をぶつけられる相手を作れ
女でも男でも誰でもいいお前が本音をぶつけて楽にしてくれる
そんな相手を作れ

約束8 100歳まで生きろ
間違っても俺の後を追おうとすんな

約束9 泣きたいときは思いっ切り泣け
さっきのと矛盾してるって？
うっせ…
泣きたいときは我慢しなくていい
思いっ切り泣け、本音を吐き出せ

約束10 来世でも俺のこと見つけろ
お前の来世に予約を入れておく
次こそはお前のことを幸せにする』

最後の約束を見終わった時

封筒から指輪が転がってきた

『夏美、お前に予約を入れておく
愛してる、今までもこれからも
俺の一番は夏美、お前ただ１人だ』

私は指輪をはめた

「私も予約入れるね
愛してるよ冬真。」

＿＿生まれ変わってもまた君に恋をする＿＿＿