私は愛を知りません。(Tomohiro･k) (ページ2)

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1話ページ2

客A｢愛ちゃーん、また来ちゃった～｣

愛と言うのは私の源氏名。

客Aはまぁ、若いし割とイケメンだし。まだ指名してくる人の中では好きな方。

｢え～嬉しぃ～もー、愛、サービスしちゃうねぇ？｣

いつもよりワントーン高い声で、色目をガンガン使って1ミリも思ってないことをどんどん言う。

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｢また来てねぇ～｣

そう言って着替えた後、控え室に戻る。

店長｢愛、帰っていいよ。｣

この店のルールでこの店の中では本名は絶対に口にしてはいけないというルールがあるから、店長も私のことを愛と呼ぶ。

｢はい。｣

私はそそくさと身支度をして次のバイト先に向かう。

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バイト仲間｢Aちゃんおつかれ！｣

｢おつかれ～｣

コンビニのバイトはまぁまぁ楽。

時間帯的に人が来ないから。

『staff room』

制服に着替える為に下着だけになる。

全身鏡を見ると結構見えやすい所に紅い花が何個か咲いていた。

｢ったく、ざけんなっての。｣

その場にいない客Aにキレながらも毎日持ち歩いてる何種類かのファンデーションを重ね塗りして隠してレジに向かう。

店長｢重岡さん｣

｢はい。｣

店長｢悪いんだけど、商品棚の整理してもらってもいいかな？｣

｢はい、大丈夫ですよ？｣

店長｢ありがと～｣

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｢お疲れ様でしたー｣

コンビニでのバイトも終わってまだまだネオンが煌めく街中を抜けながら歩く午前2時。
少し坂を登ったところにある割と新しいアパートに入って鍵を開けて、閉めて。
荷物を1箇所にまとめてサッとお風呂に入って片付けてベッドに潜る。

この街に住んでると色んな音が聞こえる

カーテンから漏れるネオンの光と色んな音と一緒に私は眠りにつく。