Ep.32 思い違い ページ32
その顔を見てふと気がついた。
私は────大変な思い違いをしてたんじゃないか？
取り繕った表面を暴いて、やっと覗き込んだ裏面を隠された真実だと思い込んだ。
「彼が“あちら側”なんじゃない、僕が“こちら側”なんだ。一年前までは君も我々に協力してくれていたはずだが」
「我々、って……」
そう言いかけてひとつ思い当たる。まさか────思わず声高らかに叫びそうになったその一言をすんでのところで飲み込んだ。
代わりに大きく息を吐き出す。同時に力が抜けていくような感覚。片手で顔面を押さえ、その姿勢のまま十秒余りの沈黙を過ごし、やがて彼らの姿を指の隙間から横目に見て呟いた。
「……公安か……」
肯定の言葉はなかったが、二人の揺るぎのない眼差しが物語っていた。確信に変わった予感がようやく点と点を結びつける。
探偵でも探り屋でもない三つ目の顔……ああ、そういうことか。
“ゼロ”が相手じゃいくらなんでも無理ゲーだ。
「君が協力者として接触していたのは警視庁公安部のうちでも担当の人間のみで、警察組織に存在しないとされる僕の顔や名前を知ることは出来なかった。だが、バーボンの素性を調べあげたその腕はさすがといったところか」
「あ、あぁ……はは、どーも……」
「安室さんの正体がバーボンであると知ったとき、あなたはその裏までを想像しなかった。追い続けていたターゲットへ繋がるとっかかりを掴もうとしたために単純な確証バイアスに囚われたんだ」
「あー待って耳が痛い！ 分かってる、分かってるから！」
江戸川くんの言ったことは何も間違っていない。情報屋として情けない限りだって思い知ったから、改めて他人の口から聞かされるのはせめて勘弁してくれないかな。
私は深くため息を吐いてしわの寄る眉間を押さえた。
「今回は……純粋な、それも初歩的なミスだね……。情報屋として素直に負けを認めるよ……」
「いや、別に勝とうとはしていないが……」
「けど確かにあの連中から情報を抜き取るのにはそこそこ苦労してさ……バーボン含む数人のコードネームと顔を調べ上げるだけで想像以上の手間と時間がかかったよ。でも、よりによって公安か……あーあ……」
「数人？ 他の奴のことも分かってるの！？」
「あ、うん、その話はあとでね」
悪いけれどこちらはそれどころじゃない。っていうか、あの人が公安からのスパイならあっちの方が知ってるんじゃないのか。
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上坂 - 夢主好き💛 (2023年1月19日 21時) (
レス) @page14 id: f311cd81c1 (このIDを非表示/違反報告)
泉 - 夢主好き💜 (2023年1月4日 18時) (レス) @page32 id: 5bd30ec6cb (このIDを非表示/違反報告)
なぎ(プロフ) - ( ^-^)ノ∠※。.:*:・'°☆(ｴﾓｼﾞｼｸｼﾞｯﾀﾀﾒｻｲｿｳｲﾀｼﾏｽ) (2022年12月13日 3時) (レス) id: 6fdcf214e0 (このIDを非表示/違反報告)
なぎ(プロフ) - おめでとうございます！！！！！( ^-^)ノ∠※。.:*:・'°☆ (2022年12月13日 3時) (レス) @page25 id: 6fdcf214e0 (このIDを非表示/違反報告)
なぎ(プロフ) - はじめまして！ほろにがクラゲ★様いつもの楽しみに読ませていただいております。本当にコナンの世界に出てきそうな感じの夢主さんでこれからの展開にワクワクしております。卒業試験頑張って下さい！！ (2022年12月1日 15時) (レス) @page13 id: 33a5069289 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ほろにがクラゲ
| 作成日時：2022年11月25日 16時
