Ep.27 疲れた様子 ページ27
「そういえば最近、Aさん来ないねえ」
蘭、小五郎、コナンがポアロを訪れた朝、梓はふいにそう言いだした。
確かに、コナンもここ最近でAの姿を見た記憶はなかった。
「また週に三日くらいお顔を見せてくれてたのに、もう二週間くらい会ってないような気が……。心配だわ、なんだか疲れてる様子だったし」
「え? どのへんが?」
ため息をつく梓にコナンが尋ねる。
知る限りAという女性はいつも笑顔で、やりすぎなくらいの明るさが印象的だった。少なくとも疲れたような顔を見せたことは一度もない。
だが梓は浮かない顔で言った。
「だってAさん、前はよくコーヒーを飲みに来てくれてたのよ。通いだしたきっかけもここのコーヒーが気に入ってくれたからなの」
「え?」
「でも、最近は甘いものばかり口にしてるでしょ? だからきっとお仕事が大変で疲れてるんだと思って……」
「そりゃたしかに妙だな……けど急に好きなものが変わるってこともあるし、味覚が変わっただけなんじゃないか?」
「うーん、そうなんですかねえ……」
小五郎の言葉にも納得したようなしていないような表情で、それきりその話は終わった。
ただ一人、コナンだけが引っかかりを覚えていた。
何かが繋がる予感だ。
手がかりの全てがひとつの要石で繋ぎ止められる。そのピースとなる手がかりは、もうほとんど揃っているような気がした。
「……梓ねえちゃん、今日は安室の兄ちゃんはいないの?」
「うん、今日はお休みみたい」
「ふーん……」
なんとなくキッチンの方を見やる。少し話ができたら……そう思ったが、あいにくのタイミングだったようだ。
AAは公安の元協力者であり、ポアロの常連客であり、謎多き情報屋。
一年間の空白もそうだが、もっとも気になるのは安室へ対する妙な態度だった。
仮に彼女が、協力者を管理する“ゼロ”所属の警察官としての安室を何らかの手段で知っていたのだとしても、あれほどまでに警戒する理由とはいったい何なのか。
「(……いや、もしかすると彼女は、安室さんを公安警察としてではなく……)」
そう考えかけたとき、推測がピースを繋げた。
ある仮説を立てれば全ての筋が通る。彼女の言動にも、一年前のことにも……。
今すぐにでも確かめたかったが、ここに彼女はいない。またここに現れる保証もない。
「(それでも……、姿を現すまで待つしかないのか……?)」
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上坂 - 夢主好き💛 (2023年1月19日 21時) (レス) @page14 id: f311cd81c1 (このIDを非表示/違反報告)
泉 - 夢主好き💜 (2023年1月4日 18時) (レス) @page32 id: 5bd30ec6cb (このIDを非表示/違反報告)
なぎ(プロフ) - ( ^-^)ノ∠※。.:*:・'°☆(エモジシクジッタタメサイソウイタシマス) (2022年12月13日 3時) (レス) id: 6fdcf214e0 (このIDを非表示/違反報告)
なぎ(プロフ) - おめでとうございます!!!!!( ^-^)ノ∠※。.:*:・'°☆ (2022年12月13日 3時) (レス) @page25 id: 6fdcf214e0 (このIDを非表示/違反報告)
なぎ(プロフ) - はじめまして!ほろにがクラゲ★様いつもの楽しみに読ませていただいております。本当にコナンの世界に出てきそうな感じの夢主さんでこれからの展開にワクワクしております。卒業試験頑張って下さい!! (2022年12月1日 15時) (レス) @page13 id: 33a5069289 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ほろにがクラゲ | 作成日時:2022年11月25日 16時