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Ep.02 ズコットケーキ ページ2

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米花市内の大型ショッピングモールがリニューアルオープンを果たした翌週末、その日は周辺道路から建物内の隅にいたるまで人々の賑やかさで溢れていた。

煌びやかで小綺麗なテナントが連なる中、毛利蘭、鈴木園子、そしてやや荒んだ目をした江戸川コナンは揃って華やかな店の前で立ち止まった。

「うわあ、すっごい行列……」

「そりゃあそうよ、大人気のフルーツパーラー2号店、特に看板商品の『ズコットケーキ』は今大流行りなんだから!」

「ズコットケーキ?」

「何よガキンチョ、知らないの? いっつもテレビでヘンな雑学ばっかり覚えてくるくせに……」

「イタリア発祥のドーム型のケーキなんだって。断面が綺麗だって人気なのよ」

並び始めて十数分、行列が少しずつ進んで折り返しにたどり着きかけたとき、異変は起きた。

「あ、いたいた! なぁんだ、そんなに進んでないじゃん!」

「ちょっとー、どこまで行ってたのよ!」

「え?」

蘭たちのひとつ前で退屈そうに並んでいた女性の元へ、紙袋をたくさん持ってどこからかやって来た四、五人の女性たちがさも当然のように列へ入ったのだ。

ムッと眉をつりあげ、園子はすぐさま女性たちに声をかける。

「って……ちょっと、堂々と割り込まないでくれる!?」

「は? 何よあんた」

「ちゃんと並んでたじゃん。割り込んでなんかないし」

「一人しか並んでなかったじゃない! そんなにいたら席がいくつあっても足りないわよ!」

「ち、ちょっと園子……そんなに強く言ったら……」

「みんなちゃんと並んでるんだから、全員店に入りたいなら後ろに並び直しなさいよ!」

「何? 店員でもないくせに偉そうにー……」

「こんなに並んでるんだから今更何人か増えたって変わらないでしょ?」

まったく聞く耳を持たない女性たちに、コナンが白い目を向けつつ店員を探し始めたとき────……


「そりゃあちょいと常識外れだよね、お姉さん方」


妙にお気楽な声音で苦言を呈したのは、割り込み連中のさらにひとつ前に並ぶ一人の女性だった。

スマートフォン片手に、愛想のいい微笑みを口元に浮かべながら割り込んだうちの一人の肩を叩いてさも軽い調子でそう言う。

「なに? なんか文句あるの?」

「いやいや、私はないよ。後ろに何人並ぼうが知ったこっちゃないからね」

Ep.03 個人情報→←Ep.01 夜鴉



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上坂 - 夢主好き💛 (2023年1月19日 21時) (レス) @page14 id: f311cd81c1 (このIDを非表示/違反報告)
- 夢主好き💜 (2023年1月4日 18時) (レス) @page32 id: 5bd30ec6cb (このIDを非表示/違反報告)
なぎ(プロフ) - ( ^-^)ノ∠※。.:*:・'°☆(エモジシクジッタタメサイソウイタシマス) (2022年12月13日 3時) (レス) id: 6fdcf214e0 (このIDを非表示/違反報告)
なぎ(プロフ) - おめでとうございます!!!!!( ^-^)ノ∠※。.:*:・'°☆ (2022年12月13日 3時) (レス) @page25 id: 6fdcf214e0 (このIDを非表示/違反報告)
なぎ(プロフ) - はじめまして!ほろにがクラゲ★様いつもの楽しみに読ませていただいております。本当にコナンの世界に出てきそうな感じの夢主さんでこれからの展開にワクワクしております。卒業試験頑張って下さい!! (2022年12月1日 15時) (レス) @page13 id: 33a5069289 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ほろにがクラゲ | 作成日時:2022年11月25日 16時

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