Ep.134 アリバイ証明 ページ34
ヘリコプターで到着したのは、もはや顔見知りともなりつつある目暮警部と数人の部下達だった。
私が予想したのは何らかの事件で応援の警察が着船するまさにこの状況だったが、今となっては全て無意味である。
不幸中の幸いと言うべきなのは……標的が死んだことで組織への体裁は保てたことか。組織を抜ける意志は変わらないが。
「それで……コナンくんと共に部屋へ戻ってくると、室内でこの男性が既に亡くなっていたというわけか」
「事前にこちらで話を聞いたが、死亡推定時刻の前後、部屋の主のアリバイはないとのことだ。被害者とは顔も知らんまったくの他人だと言っている。ま、本当かどうか分からんがな……」
中森警部がこちらをじろりと睨む。まあ昨日のやりとりからして、私にいい印象を持てと言う方が難しいだろう。
「で、その部屋の主とやらが君かね?」
「どうも」
「まったく……コナンくんはもはや毎度のことだが、事件となると決まって探偵が出てくるのはどうにかならんかね……」
私に言ったってどうにもならない。
「ねーねー警部さん、致命傷はやっぱり胸の銃創?」
コナンがひょっこり顔を出す。うつぶせの死体は血の海に沈んでいて、服には穴が空いていた。実物の死体を見慣れない私が見てもそれが死因に最も近いと思う。
「ああ、どうやらそのようだ。死亡推定時刻は十四時から十五時の間……その時間、第一発見者の彼女にはアリバイがない」
「発見時刻が十六時だから、ボクと合流する一時間から二時間前の犯行……つまりその間のアリバイが証明できればA姉ちゃんは容疑者から外れるよね?」
「……待って」
私は思わず口を挟んだ。
「なに?」
「私のアリバイを証明する気?」
「うん! だって犯人を捕まえるには容疑者を絞り込まないと!」
「……」
そんな建前が聞きたいんじゃない。
遺体は組織が追っていた裏切り者で、発見場所は私の部屋。私から見た犯人は父さん一択だけれど、彼から見ても犯人はボックか私の二人に限られている。容疑者を絞り込むなんて無駄な作業だ。
なのに私のアリバイを証明する?
頭から私の無実を信じてるとでも言うんだろうか。
それに普通の捜査で組織の殺しを解決しようなんて無理な話だ。羽田浩司の事件の真犯人が何年経っても捕まらないように。
少なくとも事件解決以外の思惑が彼にはあるはず……。
そう考え込んでいたとき、ポケットの振動パターンが着信を知らせた。
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ほろにがクラゲ(プロフ) - 莉久さん» わーありがとうございます❗無理なく書いてるものなので、無理なくお楽しみいただければ嬉しいです٩(*´∀`*)۶ キッド様のキザさ、出せているでしょうか…!?🙄(不安) (2022年8月29日 18時) (レス) id: 5ce108a39e (このIDを非表示/違反報告)
莉久 - こんにちは!なかなか時間が取れなくて、ちびちび読んでたんですけど、めっちゃくちゃ面白いです!素直に言って好きです。大好きです。コナンとも打ち解けて、……これからの展開が楽しみです!キッドがキザッ!好きッ!忙しいとは思いますが、更新頑張ってください! (2022年8月28日 16時) (レス) id: 28e45e7c9c (このIDを非表示/違反報告)
ほろにがクラゲ(プロフ) - サワーさん» わわっ、最初からずっと…!お付き合いありがとうございます!お飲みくださる方々に楽しんでいただければそれが何よりです、最後まで頑張ります!💪 (2022年8月26日 17時) (レス) id: 5ce108a39e (このIDを非表示/違反報告)
サワー(プロフ) - ずっと最初から読んでいた小説がついにクライマックス…!これまでずっと書き続けてくださってありがとうございます!これからもご自身のペースで無理せず書き続けて頂ければと思います!私も毎回楽しみにしています! (2022年8月25日 22時) (レス) @page45 id: fbf43580c0 (このIDを非表示/違反報告)
ほろにがクラゲ(プロフ) - 推しの財布さん» コメントありがとうございます!段々ややこしくなってきてしまったなと心配していたのでお褒めの言葉とっても嬉しいです…ε-(´∀`*)✨ (2022年7月24日 22時) (レス) @page31 id: 5ce108a39e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ほろにがクラゲ | 作成日時:2022年3月11日 12時