Ep.43 純然たる好奇心 ページ43
「……ふむ」
「どうしたの？」
「興味本位で調べてみたが……東京都内の高等学校に該当するデザインはない」
目線を落とし少女を見ると、手元ではスマートフォンを操作していた。
「調べるの早っ……って、どういうことだ？ 都内の学校じゃないのか？」
「まあ大方、家出か法事か……。それより真純、そろそろ部屋に戻るぞ。清掃はとっくに終わっているだろう」
「んー……」
「なんだ、まだ気になるのか」
そーいうわけじゃないけど……。頭に言い訳を浮かべつつも目で追ってしまう。そこに意図や意味などない。純然たる好奇心だ。
しかし再びその姿を捉えた瞬間、思考が止まった。
女子高生はいつの間にか、足を止めて、こちらを見ていた。
思わず声が詰まる。
しかし動揺したのはあちらも同じようで、目が合ったと思えば視線を泳がせ、僅かに頭を下げる仕草をした。
さて、どう返そうかと悩んだのもつかの間、彼女はそのまま踵を返そうとする。
「あっ……」
待って、と声をかけそうになった。
声をかけてどうする？ 彼女との間にハッキリとした面識はない。警戒させてしまうかもしれない。
それでもどうしたって気になったのは、"家出か法事"と言うのも納得な仄暗さを、名も知らない彼女が纏っていたせいかもしれない。
「……待って！」
────────
昨日と同じホテルに戻る頃には、時計の針は四時近くを指していた。
いろいろと考えながら歩くうちにいつの間にか帰りついていたのだ。一階にはレストランもあるが、夕飯時にはまだ早い。それでも大きなホテルなので、ロビーにはちらほらと人がいる。
私の思考はすでに、この世界で生きる方法についてへとシフトチェンジしていた。
まずはスマホを使えるようにしなくてはならない。どんなバイトをするにしろ、連絡先は必要だ。それからメガネも通販で探そう。やっぱりコンタクトを買い足すよりコスパがいいし、当分は度が合っていればそれでいい。
「通販でプリペイドSIMを買って……IP電話番号を取得して……ネットは使えるから、それまでに応募先の目星を付けておきたいな……。求人雑誌には載ってなかったし、部屋に戻ったらネットで…………、ん？」
ロビーを横切ってエレベーターホールへ向かうとき、目に入るものがあった。壁沿いに並ぶ対面の椅子と一脚のテーブル、そのうちのひとつに座る制服姿。白いシャツにニットベストの合服スタイル、ボトムスは青いスカート、帝丹高校の女子制服だ。
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ほろにがクラゲ(プロフ) - カミレさん» 以前から！ありがとうございます🙏😊✨自分が好きなものをずっと書いてますが、喜んでくれる方がいると思うととっても嬉しいです…！✨ またよろしくお願いします！ (2021年11月2日 15時) (
レス) id: 353f334da7 (このIDを非表示/違反報告)
カミレ(プロフ) - 以前からほろにがクラゲさんの作品が大好きです。久しぶりに占ツクに来てみたら、新しい作品があってとっても嬉しいです。お話の構成とスピード感、尊敬してます。今回も面白いお話をありがとうございます！ 応援してます！ (2021年10月29日 14時) (レス) @page14 id: 6ee71cea05 (このIDを非表示/違反報告)
ほろにがクラゲ(プロフ) - ふれあさん» コメントありがとうございます！ホントですか…嬉しいです…🥺更新頑張ります！ (2021年10月24日 17時) (レス) id: 353f334da7 (このIDを非表示/違反報告)
ほろにがクラゲ(プロフ) - 鈴凛さん» コメントありがとうございます！お好きと言っていただけると自信になります…✨✨ (2021年10月24日 17時) (レス) id: 353f334da7 (このIDを非表示/違反報告)
ほろにがクラゲ(プロフ) - snowcatさん» コメントありがとうございます❗あっという間…好み…とっても嬉しいです…😊✨これからも頑張ります！ (2021年10月24日 17時) (レス) id: 353f334da7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ほろにがクラゲ
| 作成日時：2021年9月7日 21時
