メタ推理で犯人当てたらJK探偵とか呼ばれだした【名探偵コナン】

Ep.41 違くないのに ページ41

────いや、よろしくじゃねえよ。



午後三時も近くなって、思ったより長時間滞在してしまったデパートからようやく脱出することができた。帰り際、同じく警察から解放された沖矢さんに「送ります」と言われたが、断ってその場で別れた。

外に出ると空は曇っていて、遠くの方には灰色の影が見えている。季節はもうすぐ梅雨の頃だ。

朝の視線のこともあって電車に乗るのを控え、ホテルまでの道を一駅分歩きながら、ついさっきのことを反芻しては頭を抱えた。ホント、何やってんだろ。

もう推理なんてしないとか言ったのどこのどいつだよ。加担してるじゃねえか。たまたまどっかで得ただけの知識を偉そうに語って、なんかいい事しましたよみたいに得意顔でその場をあとにした私。イタすぎる。でもあんなん半分巻き込み事故だよね。私、証拠品すぐ手放したもん。

まあ、状況は昨日に比べればマシな方だったか。昨日はひどかった。あの状況で私、よく探偵役なんて請け負ったもんだ。今ならやらない。

……名探偵コナンは好きだった。

当然、「探偵」にもよい印象を持っていた。けれど実際に自分がそう呼ばれた時、私は真っ先にこう思った。

────違う、と。

「……別に、違くないのに」

ぽつりと呟いたとき、小さなはずの自分の声が他人と完全に隔絶され、孤立しているように感じた。街の音に溶けず、しかし響きもせず、誰の耳にも届かないまま、自分の殻の中で反射して消えていく。

ああ、だから、やることがないとダメだったんだよ。

寂しさを思い出してしまうから。

「……電車……」

どうして、帰れないんだろう。孤独感が寒気をもたらす。

何がいけなかった？ 私はなぜ、どうやってここへ来た？ 都市伝説みたいにあの電車が鍵なんじゃないのか？ 同じ行動じゃ同じ現象を起こせないって言うのか？

なにはともあれ今日もホテルの部屋で寝泊まりだから、コンビニに寄って夕飯を買う。ここでの生活が長引くならやっぱり生きてく方法がないと。ある程度自由に行動できて、安全に生活できる環境がほしい。

「七時四十八分発、東都環状線……。……なら、今度は着時間を合わせて……」

退店音を聞きながら、ラックから求人雑誌を引き抜いて帰路につく。バイトするなら連絡先も必要だな。スマホもこのままじゃいけない。

「……そうだ、起点がどこかにもよるんだよ。米花駅に降りた時間は……計算できるけど、そもそもこんなのに法則性を求める方が────…………」

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