Ep.21 裏返しの紙袋 ページ21
しかし、おや、と思って口を挟む。
「でもそれって……カフェの袋じゃないの」
「あ、そうなんです! 先週オープンしたカフェで……でも今日はお茶してきたわけじゃないんですよ。店頭販売してるタンブラーが可愛いって評判だったから……」
「え? それ、カフェの紙袋なの?」
「うん、お店のロゴも可愛くて……。って、アレ?」
「蘭、それ裏側よ。印刷面はこっち」
「あ、ホントだ!」
くすくすと笑いが起こる。蘭も笑って袋を裏返したが、ふと気がついた。じゃあ、あの子はどうしてこの袋がカフェのものだって分かったんだろう。
「もしかしてこのカフェ、行ったことあるんですか?」
黒いパーカーの少女は首を横に振る。
「知らない。この辺り、詳しくないし」
「じゃあどうして……」
「どうしてって……洋服っぽくないなって思ったから。アパレルショップの袋ってだいたい横長か縦長じゃない?」
「でもそれだけじゃどんなお店かまでは分からないよね。それに、袋のサイズによっては正方形だったりもするんじゃない?」
コナンがそう追求すると、Aは困ったように頭をかいて、平坦な口調で言った。
「だとしても、コート紙じゃなくて片面無地のクラフト紙ってのは……コスメやアクセ系ならなおさらさ。デパートのテナントで適当な袋を使うとは思えないし、素朴なデザインのクラフト紙がブランド効果を発揮するとしたら、アンティーク系の雑貨屋かカフェ……って……」
「へえー……」
「あ、いや、それだけ、大したことじゃないから。……探偵気分がまだ残ってんのかな……」
「……ね、あの子、なんかちょっとメガネのガキンチョに似てない?」
「そう? まあ、頭の回転と足が速いのは似てるかも……あ!」
園子と囁きあっていた蘭が、突然何かを思い出したように言葉を止めた。そうしてAに向き直ったか思うと、わずかに焦った様子で唐突に話を替えた。
「もしかして、定期入れ落としませんでしたか!?」
「て、定期?」
「そう! あのあと私、定期入れを拾ったんです! 色は紺で、ストラップとお守りが付いてて……書いてあった名前は確か……」
「"AA"?」
「あ、うん! たぶんそれ!」
Aの名前を出したのはコナンだった。まさか、とスカートのポケットからカバンの中まで探すも、やはり通学定期はなかった。落としたのだ。
1421人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ほろにがクラゲ(プロフ) - カミレさん» 以前から!ありがとうございます🙏😊✨自分が好きなものをずっと書いてますが、喜んでくれる方がいると思うととっても嬉しいです…!✨ またよろしくお願いします! (2021年11月2日 15時) (レス) id: 353f334da7 (このIDを非表示/違反報告)
カミレ(プロフ) - 以前からほろにがクラゲさんの作品が大好きです。久しぶりに占ツクに来てみたら、新しい作品があってとっても嬉しいです。お話の構成とスピード感、尊敬してます。今回も面白いお話をありがとうございます! 応援してます! (2021年10月29日 14時) (レス) @page14 id: 6ee71cea05 (このIDを非表示/違反報告)
ほろにがクラゲ(プロフ) - ふれあさん» コメントありがとうございます!ホントですか…嬉しいです…🥺更新頑張ります! (2021年10月24日 17時) (レス) id: 353f334da7 (このIDを非表示/違反報告)
ほろにがクラゲ(プロフ) - 鈴凛さん» コメントありがとうございます!お好きと言っていただけると自信になります…✨✨ (2021年10月24日 17時) (レス) id: 353f334da7 (このIDを非表示/違反報告)
ほろにがクラゲ(プロフ) - snowcatさん» コメントありがとうございます❗あっという間…好み…とっても嬉しいです…😊✨これからも頑張ります! (2021年10月24日 17時) (レス) id: 353f334da7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ほろにがクラゲ | 作成日時:2021年9月7日 21時