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Ep.06 五人の子供たち ページ6

目を疑った。

今更、疑うまでもなかったのに。理解して、飲み込んだつもりだったのに。

けれどどこかで、駅で会ったあの子たちは幻だったんじゃないか、夢を見てたんじゃないかと、この違和感は全て気のせいなのではないかと思う自分がまだいたことに、今になって気が付いた。

「信号変わっちまうぞ!」

「ダメですよ! 点滅してるじゃないですか!」

「待たなきゃダメだよ〜!」

三人の子供。その声に、姿にぽかんとしていると、また二人の子供が通り過ぎた。

「おせーぞ、灰原! コナン!」

一番前を走っていた、体格のいい子供が乱暴に手を振る。

「気を付けろよ、元太!」

「慌てなくても公園は逃げないわよ」

横を走り抜けた、メガネの男の子と茶髪の女の子が前の三人を追う。

真っ白な頭で、私は無意識に手を伸ばした。

「……ねえ」

声が出る。私が何かを言おうとしている。分からない。

「ねえ! ちょっと!」

その呼びかけは、どうやら彼には届いたようだった。

立ち止まりかけながら、こちらを振り返る。その目が、私を、捉える。

「君────」

影が落ちた。

打撃音。破裂音。何かが潰れるような、グシャッとした鈍い音。

それがひとつ。大きく、音が鼻の先を掠めるように。

目の前に、落下(・・)した。

それはちょうど、振り返った"彼"と、立ち止まった私の間。数メートル開いたそのスペースに落ちていた。

たった今、落ちた。

それは────

「…………」

人、だった。

背広姿の中年男性。顔はこちらを向いていた。ありえない方向に曲がった首が、地面に叩き付けられて捻れたまま。それは腕も、足も同じだった。

血の海がじわじわと広がっていた。

誰かの悲鳴が耳を劈く。それを皮切りに、心臓がどうにか活動を再開したような気がした。いつもの呼吸規則を忘れた。背筋からうなじへとおぞましい悪寒が這い上がり、額に刃先を突き付けられたように動けなかった。

「キャアァァア!」

「何だァ!?」

「き、救急車……!」

私は一人の子供が……メガネの男の子が、歪な人間だったものに駆け寄るのを、直立で眺めていた。

……ああ、そうだよね。

君ならそうするよね。

現実逃避みたいに、そんなことを考えていた。

現実でなければ動揺なんてしなかった。現実でなければ、こんな感覚分からなかった。

「クソッ……。灰原!」

「ええ!」

ポケットに入れた指先が……冷えきっている。

Ep.07 どういうこと?→←Ep.05 犯人の犯沢さん



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ほろにがクラゲ(プロフ) - カミレさん» 以前から!ありがとうございます🙏😊✨自分が好きなものをずっと書いてますが、喜んでくれる方がいると思うととっても嬉しいです…!✨ またよろしくお願いします! (2021年11月2日 15時) (レス) id: 353f334da7 (このIDを非表示/違反報告)
カミレ(プロフ) - 以前からほろにがクラゲさんの作品が大好きです。久しぶりに占ツクに来てみたら、新しい作品があってとっても嬉しいです。お話の構成とスピード感、尊敬してます。今回も面白いお話をありがとうございます! 応援してます! (2021年10月29日 14時) (レス) @page14 id: 6ee71cea05 (このIDを非表示/違反報告)
ほろにがクラゲ(プロフ) - ふれあさん» コメントありがとうございます!ホントですか…嬉しいです…🥺更新頑張ります! (2021年10月24日 17時) (レス) id: 353f334da7 (このIDを非表示/違反報告)
ほろにがクラゲ(プロフ) - 鈴凛さん» コメントありがとうございます!お好きと言っていただけると自信になります…✨✨ (2021年10月24日 17時) (レス) id: 353f334da7 (このIDを非表示/違反報告)
ほろにがクラゲ(プロフ) - snowcatさん» コメントありがとうございます❗あっという間…好み…とっても嬉しいです…😊✨これからも頑張ります! (2021年10月24日 17時) (レス) id: 353f334da7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ほろにがクラゲ | 作成日時:2021年9月7日 21時

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