メタ推理で犯人当てたらJK探偵とか呼ばれだした【名探偵コナン】

Ep.37 ただの高校生ですから ページ37

「では、その見事な手腕……ぜひお目にかかりたいですね。実は僕、シャーロック・ホームズの大ファンでして」

「……何を期待してるんだか知らないけど、私はただの高校生ですから」

探偵と呼ばれるのは嫌じゃない。この世界の認識で「探偵」扱いされるのが嫌なんだ。

……仕方ない。起きてしまったことは飲み込もう。

それに私は、自分が奇妙な立場にあることを理解し、本質的な真実を隠そうとはしていないじゃないか。疑うも信じるも眼中に置かないも全て彼ら次第だ。うん、私は悪くない。

そして私は宣言したとおり、「ただの高校生」に努めようとした。

今度は隠れ蓑を果たす必要もない。ただ何も言わず、言いたいことを飲み込み、黙っていればいい。今度はうっかり、犯人の名を口にしてしまったりしないように。

「うーん……ねえ、あなたは何か気付かない？ 昨日みたいに」

佐藤刑事がそう話しかけてきても、何も言わず首を振った。

「それは彼女が電話を貸してくれと言ってきたからで……、ね！ そうだったわよね？」

話の流れで疑われだした女性店員に詰め寄られてもただ頷き。

「それを言うなら彼だって！ 前々から寺橋さんにしつこく言い寄って……」

「竹視さんも、寺橋さんとはトラブルがあったじゃないですか！」

動機の掘り出しでヒートアップする容疑者方を遠巻きに眺める。近くにいるとまた口を滑らせてしまいかねないから。

メタ推理も、出来るだけしないように。

しないように……。

「小野目さんは寺橋さんと恋愛関係で揉めてましたよね？ 恋人を奪られたとかなんとかで……」

「でも彼女、寺橋さんとは仲良かったじゃない。揉め事があったあとも、大して関係が変わったようには見えなかったし」

「まあ……今もショックを受けて、別室で休んでいるくらいですからね……」

…………なんだその怪しい話は。

おかしいだろ、一番厄介な色恋沙汰でトラブルを起こした人間がいるのに「あの人は違うよね」みたいな空気になるの。

知ってるんだよそのパターン。動機の言い合いになったとき、たいてい怪しいのは……。

「……あー、もう。またか」

やめだやめ。メタ推理禁止。ぐしゃぐしゃに頭を掻き回す。

だいたい今回の現場には沖矢昴がいる。主人公不在とはいえ、解決も進展もしないなんてことあるわけない。私は何もしなくていい。全てあの人に任せておけば……。

「おい、何かあるぞ。紙切れ？」

すぐ近くで誰かが声を上げた。

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