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(……私もあの予告状から、予告時間を10時だと踏んだ。解読は難しくなかったから、幼稚な謎かけと言うのもあながち間違いではないかもしれない)

けれど……。じっとコナンくんに目をやればその子はまた無邪気な顔で笑っていた。

「ねえ蘭ちゃん、ちょっと聞いていい?」

「あ、はい?」

「コナンくんって、怪盗キッドの事件以外にも何か興味を持ったり、現場で探し物をするような素振りを見せたり……なんてことは……?」

「ええ、割と……殺人事件の現場でもいろいろ発言して、おかげで捜査が進展したりすることもあるんです! まあ、単にお父さんの真似をしてるんだと思いますけど……」

控えめに尋ねてみると、案外あっさりとした肯定が返ってきて少し驚く。蘭ちゃんは「仕方ないなぁ」というふうに眉根を寄せて小さく笑った。

「へー……そう、ありがと」

なるほど、するとやはり彼自身が正真正銘キッドキラーなのだ。

大人を凌駕するほどの閃きと想像力、それはおそらく犯罪者の心理を読み取り先回りすることのできる水平思考。

子どもだからこそ、ということかもしれない。相手はKID(キッド)なのだからね。

「……そうだ、ねえ次郎吉おじさま。ちょっとお話があるのだけれど、今時間だいじょうぶ?」

「そうじゃのお、予告まではまだ数時間あるし……」

「そしたら荷解きついでに私の部屋で! じゃあね、園子。毛利さんたちもまたあとで」

片手を上げて廊下にキャリーを滑らす。コナンくんに片目をつむって小さく手を振って見せると、不思議そうな顔で見返された。

「それでね、おじさま。ものは相談なんだけど」

私は自分の部屋には向かわず、道中の廊下で立ち止まって相手の双眸を真っ直ぐ見据えた。

「なんじゃ、改まって」

「今回おじさまが買い取った宝石……タンザナイトのブローチだけど、キッドに奪われる前に私に貸してほしいの」

「貸してほしいと……? いったいなぜ……」

「もちろんすぐに返すし、私が所持してる間は私が責任を持って宝石を守る。ほんの数分でいいのよ……」

私が探している宝石は、一目見ただけではそれとは分からない。必要なのは月の光と、私の親指にある指輪。

だからどうか、と頭を下げて返事を待った。おじさまは戸惑っているようだった。

「うーむ…………、いくら姪っ子の頼み事といえど、それは難しい」

「……だめ?」

遠慮がちに、しかし諦めつかず様子を窺うが、おじさまの答えは変わらなかった。

.→←Ep.3 タンザナイト


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ほろにがクラゲ(プロフ) - 美桜琉さん» こちらこそ続編までありがとうございます!読んでくれる皆様のおかげです……!一生じゃなくていいのでまた着いてきてくださると嬉しいです(笑) (2019年9月28日 14時) (レス) id: 9807b016db (このIDを非表示/違反報告)
美桜琉(プロフ) - 本当に過去編を書いてくれるなんて、、、!ありがとうございます!!一生ついて行きます!笑 これからも更新頑張って下さい! (2019年9月25日 20時) (レス) id: 95c48d4791 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ほろにがクラゲ | 作成日時:2019年9月25日 18時

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