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「やあ、キミが噂のキッドキラーだね! いつも見てるよ、大活躍じゃないか!」
オーバーなリアクションに、弾む声と隠された表情。衣装が華やかなドレスでなければ、まるで道化師のようだ、とコナンは思った。
「あんた……何者だ? キッドの仲間か!?」
「ワタシは怪盗キッドの相棒さ、探偵クン」
「相棒だと……?」
「
「ではそろそろ、私達はお
怪盗キッドはうやうやしくその場に跪くと、指輪の輝く蘭の手をとり手の甲にキスを落とした。
「えっ……!?」
「なっ……キッド、てめぇ!」
「私は探偵ではなく泥棒。泥棒は盗むのが商売……例えそれが、人の心でもね」
コナンが我に返って大股に走りだす。キッドはどこからともなくワイヤー銃を出現させると、開け放たれた窓にほど近い梁に向けて打ち出した。
「じゃあな、名探偵」
ひらひらと余裕に手を振り、引き金を引いてワイヤーを巻きとる。コナンも全力で疾走するものの、所詮は子供の歩幅。キッドの姿はみるみるうちに窓の向こうへと消えてしまった。
「クソッ!」
「あ、あれ? あの人もいない……」
「え!?」
舞台に上がったコナンは怪盗キッドの消えた空を睨みつけていたが、気が付くとその場にいたはずの女性の姿も見当たらなかった。
「……今のはいったい……」
「ああ、キッド様……! ステキ!」
コナンと同じエレベーターに乗っていた園子が二人に追い付き、夢見心地で満月の空を見上げる。ただし蘭は対照的な様子で、「あんなことされた後で言われてもね……」と面白くなさそうにした。
呆然としていたコナンがハッと蘭を見て焦った顔をする。
「あんな事って? キッドに何されたの?」
「……新一がやらないような事よ」
「え? なんで? ねえ、どうして新一兄ちゃんならやらないと思うの?」
執拗に食い下がるコナンに、蘭は勢いづいて「だからそれは……」と言いかける。しかしあるものを見て口をつぐんだ。
コナンの顔に貼られた絆創膏は、元々は蘭のもの。そしてそれには園子によるイタズラが仕込まれていた。
絆創膏に小さく書かれた文字を見て、蘭は頬を赤く染めて言葉に詰まる。『新一♡LOVE』の文字を自分が書いたわけではないと分かっていても。
「す……好きだからじゃないわよ! 勘違いしないでよね!」
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ほろにがクラゲ(プロフ) - 美桜琉さん» ありがとうございます!完結しました!よかったです、今回は特に私の自己満だったので、楽しんでくれてる人いるかなー?って心配で…ホントですか!過去編!か、書いてみようかな?? (2019年9月22日 21時) (レス) id: 9807b016db (このIDを非表示/違反報告)
美桜琉(プロフ) - 完結おめでとうこざいます!ほんっとに最高でした!!過去編マジで見たいです…! (2019年9月22日 21時) (レス) id: 95c48d4791 (このIDを非表示/違反報告)
ほろにがクラゲ(プロフ) - パシェロさん» ひゃあありがとうございますー!できるだけ映画に沿えるように…物語に夢主が埋もれるかもしれないんですが…(;´Д`)今後も頑張ります! (2019年9月7日 9時) (レス) id: ad5934c8e1 (このIDを非表示/違反報告)
パシェロ(プロフ) - にゃんーーー!!((^ω^ΞΞΞ^ω^))これが見たかったー!!映画風の夢小説見たかったんやー! (2019年9月7日 8時) (レス) id: b9096b0156 (このIDを非表示/違反報告)
ほろにがクラゲ(プロフ) - バス停さん» 私必死に金ローしてました() 大丈夫ですかちゃんと画面観れました? (2019年9月6日 23時) (レス) id: ad5934c8e1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ほろにがクラゲ | 作成日時:2019年9月5日 16時