. ページ5
そうしてテレビ局の一同に礼をする様は、姉の鈴木綾子によく似た淑やかな立ち振る舞いをしていた。
「ああいえ、こちらこそご挨拶が遅れまして……わたくし、ディレクターの水川と申します」
「まあ、ご丁寧に……」
「……姉貴、スイッチ入るといつもあんな感じよ」
小声で囁く園子に「しっかりしたお姉さんじゃない」と蘭は小さく笑う。確かにしっかりはしている。こういう時のAは、どことなく母の面影にそっくりだ。
その会話が全部聞こえていたAは水川たちがその場を去ると、腕を天井に伸ばし思いっきり背伸びをした。
「あーあ、堅っ苦しくてやってらんないわ……」
「別にそんな丁寧にしなくていいじゃない、取材に来たテレビ局のスタッフでしょ？」
「園子は高校生だからまだいいけど、後々に備えて綾子姉さんみたいな振る舞いは身に付けておいて損ないわよ。それにもし何かあった時、マスコミを味方に付けておくのは一手でしょ」
「私はああいうの向いてなーいの！ パーティーではちゃんとしてるからいいじゃん。姉貴が裏表ありすぎなのよ」
「そりゃ、外に見せらんない顔ってのもあるでしょうが！」
「ないわよそんなもん……」
「それに私はあんまり顔を出せないし。こっちにいる時くらいお嬢様顔でもなんでもしてやるわよ」
そうしている間に、三人の子供たちは今度は反対方向から景色を見ようと走って向こうへ行ってしまった。追いかけて阿笠とコナン、灰原もフロアを横切って行く。残された蘭たちは飛行船内を歩き回りながら話を続けるうち、次第に怪盗キッドの予告の話になった。
「怪盗キッドねー……。でも何だかんだ、毎回盗まれては毎回返されるよね」
「それがさぁ、眼鏡のガキンチョが絡むとそーでもないのよねー……黒真珠のときも、女神像のときも……そういえば、今回の宝石って指輪なんだっけ？」
「そうね。確か……レディースカイとかって名前じゃなかったかしら」
「ねえ園子、それってどんな宝石なの？」
「でっかいラピスラズリをはめ込んだ指輪よー。私も詳しくは知らないんだけどね」
そう。今回展示されているビッグジュエルは、深い青色に黄鉄鉱の金色の粒が美しく映えるラピスラズリがメインの指輪だった。和名では瑠璃、パワーストーンとしても名高い石。
宝石のことも、Aは次郎吉に聞いてよく知っていた。それでいて特段に興味があるわけではないフリをするのには理由がある。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 233人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ほろにがクラゲ(プロフ) - 美桜琉さん» ありがとうございます！完結しました！よかったです、今回は特に私の自己満だったので、楽しんでくれてる人いるかなー？って心配で…ホントですか！過去編！か、書いてみようかな？？ (2019年9月22日 21時) (
レス) id: 9807b016db (このIDを非表示/違反報告)
美桜琉(プロフ) - 完結おめでとうこざいます！ほんっとに最高でした！！過去編マジで見たいです…！ (2019年9月22日 21時) (レス) id: 95c48d4791 (このIDを非表示/違反報告)
ほろにがクラゲ(プロフ) - パシェロさん» ひゃあありがとうございますー！できるだけ映画に沿えるように…物語に夢主が埋もれるかもしれないんですが…(；´Д｀)今後も頑張ります！ (2019年9月7日 9時) (レス) id: ad5934c8e1 (このIDを非表示/違反報告)
パシェロ(プロフ) - にゃんーーー！！（（^ω^ΞΞΞ^ω^））これが見たかったー！！映画風の夢小説見たかったんやー！ (2019年9月7日 8時) (レス) id: b9096b0156 (このIDを非表示/違反報告)
ほろにがクラゲ(プロフ) - バス停さん» 私必死に金ローしてました() 大丈夫ですかちゃんと画面観れました？ (2019年9月6日 23時) (レス) id: ad5934c8e1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ほろにがクラゲ
| 作成日時：2019年9月5日 16時
