鈴木財閥の裏表レディは怪盗の相棒【天空の難破船/名探偵コナン】

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それはテレビ局のカメラマンであるはずの石本順平だった。誰もが唖然としたその間に、石本はすぐそばにいた園子に手を伸ばすとその頭に拳銃を突きつけた。

「きゃあああああ！」

「動くなァ！」

「園子！」

血の気が引く思いで拳銃を見つめる。

「そ……園子を離しなさい！ 人質が欲しいなら私が……」

「動くなって言ったでしょ？」

後ろからも声がかかる。レポーターの西谷かすみは石本と同じ拳銃を蘭に向けていた。残党は藤岡だけではなかったのだ。テレビ局スタッフの二人も、犯人の一味だった。

拳銃と人質で下手に身動きもできなくなったAたちは、二人の手によって中央の手すりに両手をくくり付けられ、横並び一列に拘束されてしまった。

隣の部屋には飛行船の料理スタッフやクルーが同じように繋がれている。

「お主らも奴らの仲間じゃったとはな……」

次郎吉が苦々しげに言うと、石本は嘲笑うような笑みを浮かべた。西谷もクルーたちの拘束を終えこちらに合流する。すると、ずっと繋がれたままの窃盗グループたちが声を上げた。

「おい、早く外してくれ！」

「ああ、悪い悪い……あんた達には言い忘れてたんだが、少々予定が変更になったんだ」

「変更だと？」

「何しろ、獲物がこれだけになっちまったもんでね……」

肩に提げたサコッシュから「天空の貴婦人」を取り出し蛍光灯に照らす。

「あんた達には、コイツらと一緒に死んでもらうぜ」

「なにっ！？」

「……！」

目を剥いて驚く実行犯の男たち。この様子から察するにやはり彼らは雇われの部下だろう。雇い主は藤岡、そしてこの二人は武装兵たちとは違い、おそらく金で雇った部下ではない。

「おい、どういう事だ！ 話が違うじゃねえか！」

「変更だと言ったろう？ それに、あんたらがガキ相手にいいようにされたりなんてしなければ計画は全て上手くいったんだ」

「ふざけんな！ おい、早くこれを外せ！」

そう喚き立てるのはリーダーの男だけではない。突然の裏切り、目前に迫る死の宣告。そしてそれをもたらすのは仲間だったはずの雇い主と部下。殺伐とした空気に侵されるダイニング。

そのとき、怒鳴りつけていたリーダーがAに視線を向けた。

「テメェ、なに笑ってやがる！」​……そう言われて初めて気が付く。思わず口元が弛んでいた。

「……フフッ、いや、ごめんなさい。面白くて」

「Aさん……？」

蘭や子供たちの不安げな目がその横顔を捉える。

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