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そうすると少しずつ、組上がってゆく筋書きがあった。確定するには証拠が足りない。けれど、それが真実なら一応辻褄は合う。
「……ねえ快斗クン、もしかして───────」
「おい、なんだありゃ?」
「え?」
答えを確かめようと口を開く。そのとき何か妙な音がすることに気が付いた。彼の視線を追うと、スカイデッキの方から白い煙が沸いてきていた。
「…………彼らの行動にはずっとどこか違和感があった……。ワタシはなんとなく、他の目的があるような気がしてたんだ……けど、それが何なのかは分からなかった」
「ああ、だが大方見当がついたぜ……飛行船を大阪市まで飛ばさせた理由も……。しゃーねえ、一旦アイツを呼び戻すか」
船内に戻ったコナンにこれを報せるべく、キッドは再びハッチを開けて飛行船に侵入した。Aは茜色の夕日に目を細め、発煙筒の煙が帯を引いて舞い上がるさまを眺めた。
目的は見当がついた……けれど、問題が解決したわけではない。不可解な謎がまだ残っている。
あの殺人バクテリアを盗み出し、脅迫に使ったのはなぜ? 不用意な感染者を増やすだけだ、それこそ脅しだけでも良かったはず。
(けれど、実際に感染者が出てる……。今度は蘭ちゃんまで……)
あれは本当に本物の細菌? そう考えてしまうのは私の希望的観測だろうか。
「……なんだよ、面白いものって……」
「まあ、見てみろよ」
声のした方からは、コナンが上ってくるところだった。煙は誰が指さすまでもなく上空へ尾を引いて拡がっている。スカイデッキを覗き込むと、犯人の一人が大量の発煙筒を焚いていた。
「どういうことだ……?」
するとコナンは黒いベルト……サスペンダーのようなものを転落防止のロープに掛けると、おもむろに飛行船の外皮を伝って進行方向や真下の風景を観察しだした。いや、大丈夫なのかそれ。本心からの心配を若干大袈裟にして右往左往するも、本人はおろかキッドでさえ平然としていた。
「こ、コナンくん、危ないよ……」
「平気!」
「だとよ」
なんで。心配しろよ。子どもがやる事じゃないよ。いや大人でもやらないよ。
「この山を越えれば奈良だ。飛行船が煙吐いてるんで、奈良の人達はぶったまげるだろうな」
冗談めかして眼下を一望するキッド。伸縮するサスペンダーを伝ってコナンは上部に戻ってきた。
「たまげるだけじゃない、パニックだ!」
「パニック?」
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ほろにがクラゲ(プロフ) - 美桜琉さん» ありがとうございます!完結しました!よかったです、今回は特に私の自己満だったので、楽しんでくれてる人いるかなー?って心配で…ホントですか!過去編!か、書いてみようかな?? (2019年9月22日 21時) (レス) id: 9807b016db (このIDを非表示/違反報告)
美桜琉(プロフ) - 完結おめでとうこざいます!ほんっとに最高でした!!過去編マジで見たいです…! (2019年9月22日 21時) (レス) id: 95c48d4791 (このIDを非表示/違反報告)
ほろにがクラゲ(プロフ) - パシェロさん» ひゃあありがとうございますー!できるだけ映画に沿えるように…物語に夢主が埋もれるかもしれないんですが…(;´Д`)今後も頑張ります! (2019年9月7日 9時) (レス) id: ad5934c8e1 (このIDを非表示/違反報告)
パシェロ(プロフ) - にゃんーーー!!((^ω^ΞΞΞ^ω^))これが見たかったー!!映画風の夢小説見たかったんやー! (2019年9月7日 8時) (レス) id: b9096b0156 (このIDを非表示/違反報告)
ほろにがクラゲ(プロフ) - バス停さん» 私必死に金ローしてました() 大丈夫ですかちゃんと画面観れました? (2019年9月6日 23時) (レス) id: ad5934c8e1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ほろにがクラゲ | 作成日時:2019年9月5日 16時