. ページ15
ひとまずここにいれば、簡単に見つかることはないだろう。そのままその場に座り込み、不安に呑まれないように互いの顔を見合った。
「どうしましょう、コナンくん……」
コナンは難しい顔をしてずっと考え込んでいる。Aが見かねて三人を落ち着かせようとしたが、突如入った館内放送にそれは阻まれた。
『──────全乗務員に告ぐ!』
「おじさまの声……!」
『大至急ダイニングに集まるように! 繰り返す! 全乗務員は……』
「こ、コナンくん……」
「やっぱり戻った方が……」
「……かえって危険だ。おそらくこの飛行船はもう奴らに乗っ取られてる。ダイニングに人質を集めるよう命令されたんだろう……」
「……だからといって、このまま隠れてるにも限度があるよ。私たちがあの場にいないことはそのうち露呈するし」
「ああ……何か手を打たねーと……」
ぴぴぴ、と小さな電子音が鳴る。コナンが胸ポケットからバッジを取り出して口元に寄せた。
「オレだ!」
『飛行船がハイジャックされたわ……』
「やっぱりな……奴らの要求は?」
バッジから聞こえたのはダイニングにいる灰原哀の声。無線機になっているのか。驚いて小さなバッジを思わず凝視する。まさか市販品じゃないだろう。
バッジのスピーカーからは、あちらの状況が伝わってきた。『赤いシャム猫』は鈴木財閥に怨みがあり、飛行線をこのまま大阪まで飛ばさせるつもりらしい。既に爆弾を仕掛けており、件の殺人バクテリアまでその場に持ち合わせているようだった。
「……どうします、コナンくん?」
「哀ちゃんやみんなを助けなきゃ……!」
「それより、まずは爆弾の解除だ……灰原! その人質の中に犯人たちの仲間がいるかもしれない。気を付けろ」
了解、と返事があり通話は切れた。Aは浮かんだままの疑問を口にする。
「爆弾の解除って……誰が?」
「ボクがやるよ、簡単なやつなら分かるから」
「……あ、そ、そう……」
何なのだろう、この子は。怪盗キッドの共犯者である身としては、本能的に遠巻きにせざるを得ない。自分の手でも簡単な仕組みのものなら機能停止させられなくもないが、彼ほど自信を持ってイエスとは言えなかった。
(まあ、この子の前で解体できますなんて言うわけにもいかないけどね……)
「Aさんって煙草吸う?」
「煙草? いや、吸わな……」
そう言われてようやく思い出した。探検の最中、喫煙室のそばを通ったときのことを。
233人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ほろにがクラゲ(プロフ) - 美桜琉さん» ありがとうございます!完結しました!よかったです、今回は特に私の自己満だったので、楽しんでくれてる人いるかなー?って心配で…ホントですか!過去編!か、書いてみようかな?? (2019年9月22日 21時) (レス) id: 9807b016db (このIDを非表示/違反報告)
美桜琉(プロフ) - 完結おめでとうこざいます!ほんっとに最高でした!!過去編マジで見たいです…! (2019年9月22日 21時) (レス) id: 95c48d4791 (このIDを非表示/違反報告)
ほろにがクラゲ(プロフ) - パシェロさん» ひゃあありがとうございますー!できるだけ映画に沿えるように…物語に夢主が埋もれるかもしれないんですが…(;´Д`)今後も頑張ります! (2019年9月7日 9時) (レス) id: ad5934c8e1 (このIDを非表示/違反報告)
パシェロ(プロフ) - にゃんーーー!!((^ω^ΞΞΞ^ω^))これが見たかったー!!映画風の夢小説見たかったんやー! (2019年9月7日 8時) (レス) id: b9096b0156 (このIDを非表示/違反報告)
ほろにがクラゲ(プロフ) - バス停さん» 私必死に金ローしてました() 大丈夫ですかちゃんと画面観れました? (2019年9月6日 23時) (レス) id: ad5934c8e1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ほろにがクラゲ | 作成日時:2019年9月5日 16時