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たぶん、その通りだ。自分が何を信じるかは自分で決める。それは自分自身が口にしたことのある言葉だった。
……ありえない。夢物語だ。人が縮むなんて。だけど、彼の言っていることに反論はできなかった。
「……そう、分かった」
「んな暗い顔すんなよ! ほれっ」
顔に影を落としたAを見て、快斗はその目前に右手を差し出した。ぱっと開いた手が何かを包み込むように空を掴み、そして次の瞬間拳を開いたときには小さな青い花束が出現していた。
「……か、快斗クン……」
「けけけ、ビックリしたろ?」
「青いビオラの花言葉は『純愛』『誠実な愛』よ。知っててやってるの?」
きょとんとした表情で「へ?」と間抜けな声を零す快斗。
「……そなの? そ、そーいうわけじゃなくてだな……」
「はいはい、わかってるよ。あなたのお姫様は世界にただ一人だものね」
「い、いや! アイツも別にそんなんじゃ……」
「誰のことだなんてひとことも言ってないわ。でもありがとう」
狼狽する快斗の手元から花束を受け取って逆方向に歩き出す。背後から恨めしげな声が「A!」と叫ぶが、鼻歌にまぎれて聞こえないふりをした。
きっと、近いうちにまた会えるだろう。彼にも、江戸川コナンにも。
青色の花弁に特徴的な模様が太陽の下で鮮やかに揺れている。
パンジーによく似てはいるが、花はパンジーより小型で同じ根からいくつもの花弁が叢生するのがビオラの特徴だ。スミレ科スミレ属、そしてパンジーの仲間はほとんどが香りを持たない。
否、香りなど必要ない。ワタシの目的はもはや誰一人にも関係がないのだ。その過程で群がってくる虫たちは、華やかな見た目におびき寄せられただけに過ぎない。
そう、私はいつだって、私の信じられるものを信じればいい。
たとえそれが退屈な勘違いでも、夢物語でも。
だってワタシは怪盗キッドの相棒であり───────
奇跡を創り出す、共犯者なのだから。
───────This story:FIN.
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ほろにがクラゲ(プロフ) - 美桜琉さん» ありがとうございます!完結しました!よかったです、今回は特に私の自己満だったので、楽しんでくれてる人いるかなー?って心配で…ホントですか!過去編!か、書いてみようかな?? (2019年9月22日 21時) (レス) id: 9807b016db (このIDを非表示/違反報告)
美桜琉(プロフ) - 完結おめでとうこざいます!ほんっとに最高でした!!過去編マジで見たいです…! (2019年9月22日 21時) (レス) id: 95c48d4791 (このIDを非表示/違反報告)
ほろにがクラゲ(プロフ) - パシェロさん» ひゃあありがとうございますー!できるだけ映画に沿えるように…物語に夢主が埋もれるかもしれないんですが…(;´Д`)今後も頑張ります! (2019年9月7日 9時) (レス) id: ad5934c8e1 (このIDを非表示/違反報告)
パシェロ(プロフ) - にゃんーーー!!((^ω^ΞΞΞ^ω^))これが見たかったー!!映画風の夢小説見たかったんやー! (2019年9月7日 8時) (レス) id: b9096b0156 (このIDを非表示/違反報告)
ほろにがクラゲ(プロフ) - バス停さん» 私必死に金ローしてました() 大丈夫ですかちゃんと画面観れました? (2019年9月6日 23時) (レス) id: ad5934c8e1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ほろにがクラゲ | 作成日時:2019年9月5日 16時