Ep.4 窓の外 ページ18
「あ……姉貴!」
「コナンくん! みんな……!」
ダイニングには、この船のクルー含むほぼ全員が集まっていた。館内放送を無視して隠れ続け、挙句仕掛けた爆弾をすべて解除した主犯は当然大人であるAだと思われた。
間違ってはいない。だからこそAは自分がやったと言い張るつもりで相手を睨み返した。
「フン、誰がやったかと思えば鈴木財閥のお嬢様じゃねえか……オレたちはお前らに恨みがあってわざわざここまで来てやったんだ。相応の覚悟はできてんだろうな?」
「違う! やったのはボクさ!」
「……なっ……?」
「コナンくん! 待っ……」
「このナイフでコードを切ったんだ。コイツらもお姉さんも関係ないよ、ボクが頼んで協力してもらっただけだ」
口ひげのリーダーの男は初めは唖然としていたが、マルチツールナイフを取りだしたコナンを見て数歩詰め寄った。
「……いい度胸だ」
怯える気配も見せずまっすぐに視線をぶつけるコナン。次の瞬間男がその襟首を引っ掴むと、周囲は驚いてざわめいた。そのまま男はプロムナードデッキの窓を開け放った。
──────まさか。
思い当たった途端、Aはクルーたちを振り返った。時が止まったように静まり返る場。誰かが息を呑む。
止める間もなく、コナンは窓の外に放り出された。
「きゃあああああっ!」
「うわああぁっ!?」
歩美たちが悲鳴をあげ、蘭が真っ先に窓へ駆け寄る。しかし間に合うはずもない。窓枠に手をかけようとした蘭の前に、一人のウェイターが飛び出した。
そしてあろうことか、放り出されたコナンを追って空へと飛び込んで行ったのだ。
「えっ!?」
「コナンくん……!」
「あ、あのウェイター……」
混乱する場の中、Aは蘭と共に不安がる園子のそばに寄った。青ざめて瞳に怯えの色を浮かべる妹の肩を支え、目は真っ直ぐに空の下を覗く。
「姉貴……」
「…………」
大丈夫、とは言えない。彼が空を飛べる怪盗であることを、私だけが知ってしまっているから。
代わりに「ごめんね」と小さく、敢えて感情を乗せずに零した言葉だけを残して、そっとその場を離れた。リーダーの過激な行動に誰もが目を引かれている、その状況を利用する。
置いていってごめん。でも、彼はきっとここに戻ってくる。
ダイニングの手すりの裏に貼り付けた盗聴器の
電波をイヤホンから聞きながら、Aはキャビンの廊下を駆け抜けた。今を逃したら、きっとまた動けなくなる。
233人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ほろにがクラゲ(プロフ) - 美桜琉さん» ありがとうございます!完結しました!よかったです、今回は特に私の自己満だったので、楽しんでくれてる人いるかなー?って心配で…ホントですか!過去編!か、書いてみようかな?? (2019年9月22日 21時) (レス) id: 9807b016db (このIDを非表示/違反報告)
美桜琉(プロフ) - 完結おめでとうこざいます!ほんっとに最高でした!!過去編マジで見たいです…! (2019年9月22日 21時) (レス) id: 95c48d4791 (このIDを非表示/違反報告)
ほろにがクラゲ(プロフ) - パシェロさん» ひゃあありがとうございますー!できるだけ映画に沿えるように…物語に夢主が埋もれるかもしれないんですが…(;´Д`)今後も頑張ります! (2019年9月7日 9時) (レス) id: ad5934c8e1 (このIDを非表示/違反報告)
パシェロ(プロフ) - にゃんーーー!!((^ω^ΞΞΞ^ω^))これが見たかったー!!映画風の夢小説見たかったんやー! (2019年9月7日 8時) (レス) id: b9096b0156 (このIDを非表示/違反報告)
ほろにがクラゲ(プロフ) - バス停さん» 私必死に金ローしてました() 大丈夫ですかちゃんと画面観れました? (2019年9月6日 23時) (レス) id: ad5934c8e1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ほろにがクラゲ | 作成日時:2019年9月5日 16時