Ep5.姿見の記憶 ページ5
二人について行く途中、廊下に姿見の鏡が置いてあったのを、通りすがりに横目で見て───
戦慄した。
鏡に写っていたのは、全く覚えのない女性だった。歳は17、18ほどだろうか。赤みがかった黒のセミロングで、どことなく不思議な雰囲気を纏った少しつり目気味だが温厚そうな少女。
何とも言い難い感覚に囚われたが、先に行ってしまった二人を追い掛けてその時は鏡から離れた。
────あれが自分? 本当に?
なんだか、違和感がひどい。
仕方がないことなのかもしれないけれど、それにしたってだ。
本当にあの姿が私?
あの少女が、私なのか?
違和感は拭えないまま、案内された部屋で各々が自由に座り、詳しい話を始めることとなった。
服部の私室だろうか。劇場版かなにかで見たことがある、気がする。
部屋の持ち主である彼は椅子に座って腕を組むと、床に転がしたキャリーケース、そして私の顔に視線をやった。
「ほんならまずは、アンタの身元からやな」
「……分からない」
「財布に免許証あったやろ」
「えっそうなの」
肩掛け鞄から財布を出して探す。その間も「人様の財布覗いたんか!」「覗いたんとちゃうわ!」と喧嘩が勃発してるらしかったので、気が急いてしまったが。
すると確かに免許証らしきものが見つかった。顔は、ついさっき鏡の中に見た少女と同じ。
「あ! えっと、名前……」
氏名────
生年月日から計算して、年齢────18歳
「槻舘Aさん、やって。へー、18歳で車の免許かぁ! ええなぁ、出来る女って感じや!」
「どーでもええねんそんなこと。で、住所は?」
「住所…………」
ぷくーっと不満げに頬を膨らませる和葉ちゃんが可愛いなと見ていたら、それどころではなかった。そうだ、住所があるなら戸籍もあるかもしれない。住所は……
────東京都米花市米花町────
(……マジかよ)
普通に二度見したしなんなら三度見した。
「米花……って、毛利のオッチャンとこと一緒やんな?」
「おお、せやったら来週東京行く予定あるわ。ついでにこの姉ちゃん連れてったろ」
「そーしよかぁ」
「えっ、いやいや待って、大丈夫! 住所さえ分かれば一人で行けます。幸いお金はあるみたいだし」
ちょっと着いてこられるのは困る。
もしかしたら家に神様からのメモとかあるかもしれないじゃん。
いや、そういう展開あるじゃん。断じて私の頭がおかしくなったわけでは。
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もこ - 面白い (10月11日 17時) (レス) id: 67135257cc (このIDを非表示/違反報告)
ほろにがクラゲ(プロフ) - ののいろ系女子さん» ここで……終わってしまいました!<(・`-・`)>バーン ありがとうございます!そうですね、次はちゃんと(?)トリップものにしようかと考えています。よかったら次もよろしくお願いします! (2019年2月6日 19時) (レス) id: 41e8a6fa74 (このIDを非表示/違反報告)
ほろにがクラゲ(プロフ) - ハルカさん» ありがとうございます!こんな打ち切りみたいな終わり方でいいんだろうか……と思っていたのですが、楽しんで頂けたなら良かったです! (2019年2月6日 19時) (レス) id: 41e8a6fa74 (このIDを非表示/違反報告)
ののいろ系女子 - ここで!?でも、これはこれで結構良いわぁ!←何様 黒の組織エンド最高でした!次の作品は、トリップか転生物が見たいなぁって。てへ( ^∀^)← (2019年2月4日 19時) (レス) id: 8fb3eabd58 (このIDを非表示/違反報告)
ハルカ(プロフ) - 黒の組織エンドめっちゃいいです!最後まで楽しませていただきました!完結おめでとうございます! (2019年2月1日 8時) (レス) id: f6af1829c1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ほろにがクラゲ | 作成日時:2018年7月28日 19時